「地方と都会」ではなく「東京とそれ以外」…地方移住した編集者が「バリバリ仕事をするなら東京一択」と断じる理由

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「距離」の問題というよりは

 地方在住者と喋ると、「地元には仕事がないから息子は都会に行った」という話を聞くことが時々ある。筆者は東京出身で現在佐賀県在住だが、ここで彼らが言うところの「都会」という言葉に毎度疑問を抱くのである。というのも、仕事を求めるのならば「東京」一択だと思うのだが、彼らにとっての「都会」は、東京ではなく「同じ地方・地域にある大都市」となるのだ。だが、東京と「それ以外の都会」は全く違うものである。東京が仕事をする上で持つアドバンテージは他の大都市とは比較にならない。別格なのだ。

 北海道民ならば札幌、東北地方在住なら仙台、北陸地域在住なら名古屋か大阪、東海地域ならば名古屋、関西圏なら大阪、中国地方なら広島、九州なら福岡といった具合だ。大学にしても佐賀県内出身者で国立大学を目指すのであれば、関西圏より東には行きたくない、という意見もあった。東京はとにかく遠すぎる、と言うのだ。そしてこう続く。

「なんかあったらすぐに帰ってこられるからね」

 しかしながらよく分からないのが、大阪から佐賀駅まで新幹線と特急を利用すると博多経由で約4時間かかる。東京・羽田空港から福岡空港まで飛行機で行って佐賀駅まで行くのは3時間台である。佐賀空港を利用すれば2時間台で佐賀駅まで着く。鹿児島から新幹線で福岡に行くのも、鹿児島空港から羽田に行くのも時間はそれほど変わらないように思うのだが……。「距離」の問題というよりは心理的な負担があるかどうかが影響しているのだろう。

人材の質の高さ

 私自身の感覚が、メディア業務に従事しているため特殊なのかもしれないが、東京と「それ以外」と感じることが多々ある。何しろ、東京の仕事量を100としたら、大阪は15、福岡は5といったところになるのではないか。ギャラにしても東京が100だったら、大阪は40、福岡は20といった実感もある。東京のフリーランスコピーライターはギャラについて「東京が100だったら大阪は30、福岡は10」と言っていた。事実、現在自分が佐賀で仕事をしているうちの95%は東京発の仕事である。正直、佐賀と福岡の仕事を獲得することは諦めている。先行者・地縁による仕事発生の中には入り込めないのである。

 もちろん、建設業や営業職、経理職等では東京以外の大都市でも十分仕事はあることだろう。飲食店やコンビニのバイトでも、福岡と佐賀では時給が数十円~100円は違う。だから、メディア系やエンタメ系、IT系のみ東京と「その他大都市」の充実度は違うのかもしれないが、もう一つ東京が別格たる理由がある。

 それは、人材の質の高さ。結局全国から野心のある人が集まるため、競争が激しく、会う人々の優秀度合いがかなり高いのである。仕事は多数あれども、ギラギラした出世欲を持った人間が高いレベルでその仕事を獲得し、そうした勝負に勝った人と一緒に仕事をすることとなる。

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