科学的に「糖質中毒」から脱する方法 悪性度ナンバー1の飲食物とは

ドクター新潮 ライフ

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角砂糖13個分

 糖質の働きは私たちの体のエネルギー源になること。体内に取り込まれた糖質は消化の過程で一個一個のブドウ糖に分解され、血液によって全身に送られて体や脳を動かすエネルギーとなります。この時、血液中にどれくらいブドウ糖が存在しているかを示した数値が「血糖値」です。

 血糖値が上がり過ぎると昏倒して命に関わるため、私たちの体は膵臓からインスリンを分泌し、血糖値を下げようとします。インスリンはブドウ糖の一部をグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に貯蔵し、それでも余ったブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄えます。こうして脂肪が異常に蓄積された状態が「肥満」です。

 ちなみに、ご飯などの炭水化物は「多糖類」と呼ばれ、たくさんのブドウ糖が連なった構造をしています。他方、砂糖はブドウ糖が二つくっついた「二糖類」です。ただ、多糖類も二糖類も私たちの体内で消化するときにバラバラにされて、すべて一個一個のブドウ糖に分解されます。この一個一個のブドウ糖が血糖値を上げるわけですから、ご飯も砂糖も体にとっては同じ。

 例えば、うどんは1玉(250グラム)に約50グラムの糖質を含んでいますが、これを食べることは角砂糖13個をなめることと変わりません。また、500ミリリットル入りペットボトルのコーラなど清涼飲料水に、ご飯1膳分に匹敵する50グラム以上の糖質が含まれていることも多々あります。

依存のメカニズム

 過剰な糖質摂取によって引き起こされるのは肥満だけではありません。糖質を過剰摂取しているとインスリンの働きが弱くなり、行きつく先は「糖尿病」です。糖尿病になると免疫系の機能が低下するため、がんや心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病などあらゆる病気にかかりやすくなります。さらに血液中に溢れたブドウ糖は血管の壁にくっついて傷を作り、全身に酸素や栄養を送り届ける血液や血管の状態も悪くします。

 いかがでしょう。糖質の過剰摂取がいかに危険で有害か、これでお分かりいただけたでしょうか。

 では、このように危険な糖質の過剰摂取を続けるとどうなるのか。続いては、依存のメカニズムについてお話ししましょう。

 カギとなるのは、やはり「血糖値」です。血糖値は糖質を摂取したときやストレスを感じたときなど、私たちの知らないところで一日中、上下しています。血糖値の変動自体は自然な動きで、一日を通じて70(空腹時)~140(食後)mg/dL程度で動いていれば問題ありません。ところが糖質を過剰摂取すると血液中にブドウ糖が溢れ返り、血糖値が急上昇するのです。健康診断では何の異常もない若者が、食後に180を超える血糖値を示すことも珍しくありません。

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