科学的に「糖質中毒」から脱する方法 悪性度ナンバー1の飲食物とは

ドクター新潮 ライフ

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物理的に遠ざける

 急上昇した血糖値を下げるため、膵臓からは大量のインスリンが分泌されます。これによりブドウ糖は一気に分解され、今度は血糖値が急激に下降。低血糖も命に関わりますから、脳がさまざまな不快症状を発して「糖質を取れ」と指令します。この不快症状にはイライラや強い空腹感、冷や汗、動悸(どうき)や震え、吐き気などがあります。糖質中毒者が糖質を欲するのは、まさにこの「脳からの指令」に突き動かされているわけです。

 一方、脳の指令に従って糖質を取ると、今度はドーパミンが分泌され、ご褒美として幸福感を得させてくれます。皆さんも「イライラしてチョコレートをつまんだら満たされた」といった経験があるかもしれませんが、それこそが中毒症状の入り口なのです。

 糖質摂取による幸福感は長続きしません。糖質を取ると血糖値はジェットコースターのように急上昇のち急降下。不快感を覚えて、体は糖質を再び欲するのです。このような「悪魔のサイクル」に陥れば、完全な糖質中毒です。

 時折、「イライラしたり集中力が切れたりするのは、脳のエネルギー不足」と糖質の摂取を正当化する方がおられますが、これは誤り。確かに通常は脳のエネルギー源としてブドウ糖が使用されますが、ブドウ糖が不足したからといって脳が働かなくなることはありません。甘いものを食べないと脳が働かないのは、糖質中毒の禁断症状を起こしているだけ。いわば「ヤクが切れた」状態です。

悪性度ナンバーワンの糖質

 また、血糖値の上がり方は糖質の種類によっても異なります。ご飯やパン、麺類に比べ、ケーキなど甘いお菓子類は血糖値の上がり方がより急激です。最悪なのは清涼飲料水など、すでに液体になっている糖質。これらは消化の必要がほとんどありませんから、血糖値の上がり方はかなり急激で、悪性度ナンバーワンの糖質といえます。

 中には「果汁100%だから健康的」と、フルーツや野菜のジュースを飲んでいる人もおられるでしょう。でもジュースの製造には、そのままで食べる量の何倍もの果物を使い、さらに汁だけ残して繊維質は捨ててしまう。結局、糖質だけを大量に取るわけで、ちっとも健康的ではありません。

 多くの飲料メーカーは、製品を繰り返し口にしてもらおうと「至福点」を計算しています。至福点とは、血糖値の上昇によって脳が幸福を感じ始める分岐点のこと。つまり糖質中毒に陥る糖質量を分かって商品化しているのですから、糖質中毒に陥るのは当然です。

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