「日本人には果物が足りない」 がん罹患率と死亡率が低下…ダイエットにも最適な理由とは

ドクター新潮 ライフ

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満腹感をもたらすのはカロリーではなくボリューム

 このように、甘い果物は「ダイエットの敵」というのは全くの誤解であり、むしろダイエットに向いているとさえいえるのです。

 そもそも、どうして多くの人はダイエットに失敗するのでしょうか。それはリバウンドしてしまうからです。短期的には食事制限などの“我慢”をすることができても中長期的には続かない。なぜなら満腹感や満足感が得られないからです。

 満腹感や満足感を得るのに重要なのは、実はカロリーではなくボリューム、つまりその食材の「かさ」です。カロリーの多寡に関係なく、「大きな食材」を食べればお腹は膨らみ、満腹感・満足感を得られて食べ過ぎ防止につながる。その点、野菜や果物には水分や食物繊維が多く含まれていて、食物繊維は保水性、保形性がありますから、そもそも野菜や果物はかさが大きめで、満腹感・満足感を得やすい食材といえます。

アルツハイマー予防にも

 その点、野菜もダイエットに有効といえますが、果物は生で食べる場合が多いのに比べると、野菜は調理するケースが多い。すると、加熱などの過程で水分が外部に出ていき、同時に食物繊維が破壊されて縮み、かさが奪われてしまう。ダイエットには果物が最適といえるゆえんです。事実、アメリカ農務省(USDA)の調査では、果物の摂取量が多い人ほど統計的に有意に肥満の人の割合が少なく、一方、野菜の摂取量では有意な差が出なかったと報告されています。

 ダイエット以外でも、果物の積極的な摂取は健康増進に役立ちます。例えば、アルツハイマー型の認知症の予防です。果物に豊富に含まれるビタミンCやビタミンEを多く取った人のほうがアルツハイマー型認知症の発症率が低いことが分かっています。

 また、アメリカのワシントン州シアトルで65歳以上の1800人超を対象にした疫学調査では、コップ1杯(約240ミリリットル)の果物・野菜ジュースを週3回程度飲む人は、週1回の人と比較した場合、アルツハイマー型認知症の発症リスクが73%も低いとの結果が出ています。認知症は加齢に伴う酸化ストレスや炎症反応が原因のひとつとされ、果物にはビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールといった抗酸化成分や抗炎症成分が豊富だからだと考えられます。

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