米国が誇る「強い個人消費」は本当に続くのか…最大のリスクは大統領選と“心理不況”の関係

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大統領選、真の脅威は経済への悪影響

 物価高の影響はもちろんだが、民主党と共和党の党員が互いに敵愾心(てきがいしん)を抱き、社会の分断が進んでいる米国で、国の将来を憂う気持ちが消費の足かせとなりつつあるのではないかと思えてならない。

 筆者は「好調を誇る米国経済にとって最も深刻な波乱要因は大統領選という政治イベントではないか」と考えている。今年の大統領選挙が前代未聞の展開となることが確実視されているからだ。

 米調査会社「ユーラシア・グループ」代表のイアン・ブレマー氏が指摘した(1月25日付日本経済新聞)ように、大統領選挙の過程で米国社会がさらに混迷を極めるのは確実だろう。

 党派対立の暴走から国内で大規模なテロ事件が発生する可能性も排除できないと思われる。そのような事態が起これば、2001年の同時多発テロ後のように米国経済が深刻な「心理不況」に陥ってしまうことは間違いないだろう。

 米国の大統領選挙の国際政治に与える影響がよく取り沙汰されているが、真の脅威は世界最強を誇る米国経済への悪影響ではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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