結局「補償」「著作権」はどうなった? 「ジャニーズ問題」2024年も残る4つの課題

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「他ジャニーズJr.90名」…ずさんな管理体制

 NHK内のトイレで複数回性被害に遭った当時高校生の男性も、ジャニーズ事務所に所属していたわけではない。9月に旧ジャニーズ事務所に被害を申告した際、事務所側から1時間あまり質問を受け詳細に回答したが、結果として「更なる確認が必要」だとされて「在籍証明」として認めてもらえなかったという。

 被害の舞台となった「ザ少年倶楽部」を制作しているNHKでも、少年の管理体制はずさんそのものだった。有名なジュニア以外は「他ジャニーズJr.90名」などと台本に記され、番組関係者も「ジュニアに誰がいるかはわからないし、いちいち確認していない」と証言する。NHKの番組オーディションなのに、NHKの建物を使いながら事務所関係者だけで運営していた実態も判明した。番組のためのレッスンでもNHK関係者は不在の時間が大半だった。

 音楽番組のダンス練習に来ていたとか、オーディションを受けに来たというケースだと、ジャニーズ事務所に「所属」するどころかその前の段階だ。ジャニー氏はそうした高校生など、所属する前の「子ども」に加害行為を頻繁に行っていたことになる。

 こうしたケースはいったいどのくらいあるのか。それはわからない。この状態で補償はきちんと進むのだろうか。

 昨年9月の旧ジャニーズ事務所の記者会見では「法を超えて救済・補償は必要」「被害者の方に寄り添う形をきちんと作っていきたい」と東山紀之社長が明言した。ところが実際にはまだまだ進まない一面がある。

課題その2 止まない誹謗中傷 被害者のケアはどうなる?

 昨年10月中旬、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属している40代の男性が、大阪・箕面市の山中で自殺しているのが見つかった。遺族は、男性が性加害のトラウマで長く苦しんでいたことや、昨年5月に旧ジャニーズ事務所に連絡してもなしのつぶてだったと説明している。SNSなどネット上での誹謗中傷にも苦しんでいたという。

 亡くなった男性は家族のほか、ネット上の誹謗中傷の相談にのるNPOにも相談していた。旧ジャニーズ事務所は「心のケア相談窓口」を開設し被害者の心のケアに応じるとも発表していたが、その実態や効果は不明だ。旧ジャニーズ事務所は自殺した男性に「心のケア相談窓口」から2回連絡したというが遺族は確認していない。

 性加害のトラウマだけでなく、誹謗中傷の精神的な苦痛が加わることのつらさは、13歳でジャニー喜多川氏から性加害に遭ったことを実名顔出しでメディアで告発し、「当事者の会」の発起人にもなった二本樹顕理さん(40)も11月18日のTBS「報道特集」で「二本樹は大嘘付き」「金と売名以外考えられんだろ!」などという誹謗中傷をされた経験を語っている。その被害は家族にも及んでいるという。

「名指しされる感じ。妻の個人情報を勝手にバラされたり……。私自身のSNSの個人アカウントから盗用されている」(番組内での二本樹顕理さんの発言)

「家を出るのが怖いと感じる時があります。食事や買い物に行くときに……。こんな生活あなたならどう思いますか」(二本樹さんの妻の発言)

「報道特集」では、二本樹さんが自殺した男性と同じくネット上の誹謗中傷に詳しいNPOに相談している場面が放送されたが、一方で旧ジャニーズ事務所の「心の相談窓口」の対応の詳細はよく分からないままだ。

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