結局「補償」「著作権」はどうなった? 「ジャニーズ問題」2024年も残る4つの課題

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課題その1 各局検証番組で「テレビ局内での性被害」も続出。補償はどこまで可能か

 9月11日のNHK「クローズアップ現代」以降、テレビの責任やジャニーズ性加害問題の報道のあり方を検証する番組を各局が打ち出している。その都度、各局はテレビ局の報道局、情報制作局、編成局などの元社員や現役社員らに聞き取りをし、旧ジャニーズ事務所に「忖度」する傾向があったことを認めている。さらに10月9日、NHKはデビューを目指すジャニーズJr.が出演する音楽番組「ザ少年倶楽部」にダンス練習に来た当時高校生の男性が局内トイレでジャニー氏による性被害に複数回遭ったというニュースを報道した。

 TBSも検証番組でジャニーズJr.の男性がTBSホールでの非公開オーディションで被害に遭ったことを取り上げたほか、テレビ朝日も旧ジャニーズ「忍者」に所属した志賀泰伸さんがかつてのテレ朝局舎内で性被害を受けたという報道に対し「当時の関わったプロデューサーはじめ関係スタッフの多くは亡くなっており」「事実関係の確認は困難」としながらも「志賀さんの告発は事実」として「被害者救済委員会が迅速かつ適正な救済・補償をおこなうことを望んでおります」と発表した。

 ジャニー氏から性加害にあった被害者の補償にあたっての窓口は、元裁判官など3人の弁護士からなる被害者救済委員会だ。被害者側が専用フォームから被害の詳細を申告すると救済委員会はスマイル社に在籍の有無を確認し、在籍が確認されればヒアリングを経て、補償額が決まる流れだ。

 ところが「在籍確認」ができないケースが相次いでいる。

 12月4日の「クローズアップ現代」によると、被害者救済委員会に被害を訴えても「貴殿がジャニーズ事務所に所属されていたことの確認がとれておりません」とされ、「在籍確認資料」を求められるケースがいくつも出ている。

 18歳の時にジャニーズ事務所に履歴書を送った男性A氏はジャニー氏から「スタジオ見学に来ないか」と自宅に電話がかかってきて合宿所に誘われ、寝ていたところ性被害にあった。

 A氏は救済委員会に申告したが、在籍確認資料がないので委員会ではなく、スマイル社が直接対応するという。A氏の場合、スマイル社に連絡したが1か月半経っても「待ってほしい」というだけで進展はないという。

 別のB氏は、高校1年生の時に事務所に履歴書を送付し、ジャニー氏から呼び出されたその日に合宿所で被害に遭ったと証言する。A氏と同じように在籍確認ができないとしてスマイル社との対応を求められている。が、加害者側であるスマイル社との直接やりとりするのに躊躇している。

 事務所が管理するジャニーズ名鑑に掲載された、あるいはテレビに出演したとか雑誌に掲載されたりした被害者であれば「在籍確認」は容易にできる。

 ところが、「レッスンに通った」「オーディションに参加した」「事務所に履歴書を送って呼び出された」という被害者のケースでは、事務所とのかかわりを証明することが難しい。再発防止特別チームの報告書でも「そもそも誰がジュニアであるかすら把握できていないずさんな管理体制」だったと指摘されている。

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