司組長に751万円の支払い命令 6代目山口組の直参を露天商が提訴 「みかじめ料」をめぐるバトル・ロワイアル

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全国初の提訴

「みかじめ料」といえば、ヤクザが飲食店などから徴収する場所代、用心棒代のことで、長年、暴力団の主収入の一つとされていた。その「みかじめ料」をめぐる話題が、業界内で続いているという。祭りなどに出店する露天商の組合が「みかじめ料を強いられた」として、6代目山口組の直参組織を提訴。その後に今度はその組合幹部が縄張りで揉めて元組合員を殴った件で逮捕されるという事件も発生。さらに、つい先日には、みかじめ料をめぐって提訴されていた6代目山口組の司忍組長に対し、高額な支払いを命じる2審判決が下っている。「みかじめ料」をめぐる3つの揉め事からは、ヤクザ業界の現状が見えてくるようだ。

 まずは露天商が提訴した件から見て行こう。

「みかじめ料」の支払いを強要されたのは違法として、過去4年間に払った2000万円余の返還を求める訴えを名古屋地裁に起こしたのは、愛知県東部街商協同組合(豊橋市)だ。提訴は11月21日付。

組織弱体化を図るうえで

 同組合は長年にわたって祭りに屋台などを出店するたびに、6代目山口組の2次団体・11代目平井一家(本部・愛知県豊橋市)の薄葉暢洋総裁からみかじめ料を払わされてきたとされる。

「組合は今年2月、愛知県公安委員会から名前の公表処分を受けていました。薄葉総裁にみかじめ料を払っていたことをとがめられた結果ですね。その後の7月に会見を開いて暴力団側との決別を宣言しており、それらが今回の提訴につながったというわけです」

 と、担当記者。

「この種の訴えを露天商の組合が起こすのは全国初と聞きました。組合側の弁護士もその意義を会見で主張していましたね」(同)

 ところで、薄葉総裁といえば6代目山口組ナンバー2を支える若頭補佐の1人だ。幹部の中の幹部をターゲットとされることは6代目側としてはダメージがあるだろうし、当局としては組織弱体化を図るうえで「フォローの風」となる動きではあるのだろう。

名古屋高裁の逆転判決

 みかじめ料をめぐっては、かねて当局側の暴力団包囲網が狭まってきていた。愛知県内のある男性が、6代目山口組の司忍組長と3代目高山組(6代目山口組の3次団体)酒井伸久事務局長を相手取って約1000万円の損害賠償を求めたことがあった。昨年9月の一審判決は、貸付金などの名目で支払った約600万円の違法性を認めたが、3年の時効を理由に請求のほとんどが却下されている。

 ところが、12月14日の名古屋高裁では逆転判決が下された。司組長らに751万円の支払いを命じたのである。

 男性が支払ってきた約1000万円は10年余にわたった総額だ。1審ではこのうち約600万円について司組長の使用者責任などを認定したものの、大半は時効が成立しており、それを除いた金額の支払いが認められた。

 一方の男性側は恐怖が常態化し、長期化した結果、訴え出るまでに時間がかかったとして時効を適用すべきではないという主張を展開。高裁はこれをほぼ受け入れた格好のようだ。

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