「高2の頃に万引きをしてから人生が悪い方向に…」 立川「ホテル殺傷事件」公判で“不規則発言”を繰り返す「元少年」が明かしていた意外な“過去の供述”

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「答えは“いいえ”です。無罪です」

 東京都立川市のホテルで風俗店勤務の女性(31=当時)を殺害したなどの罪に問われている元少年の被告(21)の裁判員裁判論告求刑が東京地裁立川支部(新井紅亜礼裁判長)で11月30日に行われ、検察官は懲役25年を求刑した。弁護人は無罪を主張している。

「被告に善悪を区別する能力があったか? 答えは“いいえ”です。被告に行動をコントロールする能力があったか? 答えは“いいえ”です。当時、被告は心神喪失の状態にありました。無罪です」

 弁論で弁護人はこう述べた。被告が犯行当時「自閉スペクトラム症」であったことは検察側も争ってはいないが、弁護側は被告がこの影響を受けて当時心神喪失状態に陥っていたため無罪であるという主張をしている。(前後編の「前編」)【高橋ユキ/ノンフィクションライター】

 事件が起きたのは2021年6月1日。公判で明らかになった証拠等によれば、当時19歳だった被告は前日に派遣型風俗店に電話を入れ、勤務していたAさんを指名して15時からの予約を取った。そして当日、店舗事務所を訪れ、リクエストシートに希望のサービスを記入し、支払いを済ませた。ネットオークションで購入していた刃体20.6センチメートルの包丁や、Aさんを盗撮するためのiPodを準備し、先にホテルに入室した。

 部屋にやって来たAさんが、ほどなく盗撮に気づき、店舗に電話でこれを報告するやいなや、被告人は包丁でAさんの腹部や頭部を多数回刺したという。

 盗撮されたというAさんからの電話により、ホテルの部屋の前まで駆けつけた店舗従業員の男性・Bさんが部屋のドアをノックすると、被告が部屋のドアを少し開け「プレイ中ですよ」と言い、ドアを閉めようとしたが、Bさんがドアの隙間に足を差し入れ、これを阻止した。すると被告は突然ドアを開け廊下に出てきたうえ、さきほどAさんを刺した包丁でBさんの腹部をいきなり刺した。後ずさりするBさんの首元や手にも攻撃を加えた被告は、ホテルの階段を5階から1階まで駆け降りてそのまま逃走。Bさんは全治3ヶ月の大怪我を負い、Aさんは搬送先の病院で亡くなった。被告は翌日、羽村市を原付バイクで走行中のところを警察に発見されて逮捕された。

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