「Please sit down」はNG 「外国人観光客」を“悪者”にしないために必要な最低限の「説明」と「英語力」とは

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永久入国禁止を求める声も

 財務省は11月9日、2023年4~9月の国際収支速報で、経常収支の黒字額が前年同期3.0倍の12兆7064億円に達したことを発表。この中にはインバウンド復活の影響も含まれており、訪日客が日本で使った消費額から、日本人が海外で消費した分を引いた「旅行収支」の黒字額は、同15.0倍の1兆6497億円で比較可能な1996年度以降最大になった。

 インバウンドが復活し、一部業界にはホクホクの状況だが、その一方で、大渋滞やゴミのポイ捨てといった「オーバーツーリズム」が問題視されている。さらには、京都の舞妓さんが外国人から無断撮影されたり、追いかけまわされることへの苦情も絶えない。最近では「外国人迷惑YouTuber」が「新幹線を無料で乗る方法」などを公開するなど、インバウンド客の中には招かれざるべき者も一定割合含まれ、ネットではこうした者に対し「永久入国禁止」処分を求める声もある。

 ただし、こうした人間以外は「単にルールやしきたりを知らなかった」という例もあるわけで、そうなると重要なのは、いかにして彼らに適切な情報を、“英語で説明”できるか、ということだろう。以前、マネーポストWEBに掲載された『外国人客急増でトラブル続出のラーメン屋、「つけ麺」でまさかの修羅場も』(2019年1月9日)という記事が多数読まれたと担当編集から聞いた。改めて振り返ってみても、記事内にこんな記述があるのだから、こりゃ、読まれるだろう。何しろ「郷に入っては郷に従え!」とネットでキレたがる人々にとって最高の記事なのだ。以下、同記事内の店員のコメント。

とにかく説明する

〈「つけ麺を頼んだ外国人客に食べ方を説明すると、おもむろにつけ汁を麺にドバーっとかけたんです。外国人は箸を使うのが苦手なので、1回1回つけるのが面倒だと思ったのでしょう。けれどもウチの店では麺をせいろに載せているので、つけ汁がこぼれ、それが自分のコートやカウンターの隣の客のズボンにこぼれ、こぼした外国人は『何で皿に穴が空いているんだ!』と激怒し、隣の客もキレ始め……というのがこれまで一番の修羅場でした」〉

 この場合は、つけ麺の食べ方を英語で解説する説明書きを貼っておいても良かったかもしれない。もちろん、他の客の食べる様子を見ていたら正式な食べ方は分かるわけで、いくら箸の使い方が困難だからといっても常識外れな客だろう。そもそも、せいろの薄さと垣間見える隙間を考えたら汁をかけようという発想にはならないと思うのだが。せめて半分ほどの麺をスープにぶち込むか、フォークをもらえばいいとも思う。

 訪日外国人が増えるとこのような状況は避けられないため、「とにかく説明する」ことが大事になる。それはそうだ。たとえば、観光客の多い場所のトイレでは、中国語で「洋式便座は座るもので、両足でしゃがむものではない」という図解がある。それは中国の一部や東南アジアでは、しゃがむタイプの便器こそ用を足すものという認識が主流だからだ。日本の若者は東南アジアに行ったら便所に困ることだろう。

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