認知症を防ぐ「栄養バランス食」と「昼寝」の奥義 1時間以上昼寝するとリスク増

ドクター新潮 ライフ

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 われわれの脳は、幼い頃にとどまらず高齢になってもなお、新しい神経細胞を生み出すことができるという。「メモリークリニックお茶の水」院長で東京医科歯科大学客員教授の朝田隆氏が語る、認知症を防ぐ「栄養バランス食」とは。

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「老人脳」でも心臓病やがんでも、予防のためにできることは運動・栄養・休養の三つに尽きます。加えて脳の健康維持においては「知的トレーニング」も大きなウエイトを占めることになります。

 運動をすることで、脳の血管の再生や海馬の「歯状回」という箇所での神経新生、さらにはシナプス(神経細胞の間をつなぐ接点)同士の結びつきがよりフレキシブルになる「神経可塑性」が増進されるといわれています。運動による刺激が脳に伝わり、脳内で「インスリン様成長因子」「神経栄養因子」などが発現し、それによって神経の新生や再生が起こるというメカニズムです。

「地中海式食事法」

 認知症予防にとどまらず、健康で生きるためには筋力維持も欠かせません。「人間は下肢から衰える」と言われる通り、足腰の機能を保つ運動は脳にとっても重要です。私は平均して1日7千歩ぐらい歩き、1週間に1度くらい1万歩を超えるような日を設けています。階段は1日150段ほど登るようにしており、腹筋運動と腕立て伏せは毎日10回ずつ。2分以内で済む簡単な「筋トレ」ですが、継続することが肝心なのです。

 栄養では、青魚のDHAやオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸など、抗酸化物質がまず大事な要素として挙げられます。

 従来、健康長寿には「地中海式食事法」がよいとされてきました。牛や豚など4本足の動物ではなく鶏肉や魚を中心とし、野菜や果物を積極的に取り入れるというのは、伝統的な日本の食生活にも通じるといえますが、大きく異なるのはクルミやアーモンドなどのナッツを食べるかどうかです。これらがもたらす抗酸化作用が、とりわけ認知症や心臓病の予防に有効とされています。

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