認知症を防ぐ「栄養バランス食」と「昼寝」の奥義 1時間以上昼寝するとリスク増

ドクター新潮 ライフ

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加齢に伴い、多くの抗酸化物質の摂取が必要に

 活性酸素により脳内の物質が過剰に酸化されることは、アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβが脳内に蓄積されるプロセスの上流にあるともいわれます。加齢とともに酸化されやすくなるので、より多くの抗酸化物質の摂取が求められるようになりますが、“これだけ取っていれば大丈夫”という栄養素は存在しないため、バランスが大切です。

 そこで便利な標語をご紹介しましょう。「まごたちはやさしい」というもので、それぞれ「豆」「ゴマ」「卵」「乳(製品)」「ワカメ(海藻)」「野菜」「魚」「シイタケ」「芋」の頭文字です。いずれもビタミンを多く含んでおり、さらに海藻が骨粗鬆症予防に有効だったり、芋の食物繊維が便通を整えたりと、すべての食物が有効に作用します。

 シイタケは意外かもしれませんが、乳製品を取った時のカルシウムが私たちの骨に吸収されるためには、シイタケに含まれるビタミンDが大きな役割を果たします。

昼寝と認知症の関係

 睡眠に関しては、夜に7時間寝ている人が最も認知症リスクが低く、悪夢にうなされたり暴れたりする「レム睡眠行動障害」になると、認知症リスクはほぼ倍増します。また適度な昼寝は、リスクを半分ほどに低下させます。

 かつて昼寝と認知症との関係を解析したことがありますが、30分以内の昼寝の習慣がある方はアルツハイマー型認知症になりにくく、これが1時間以上だと反対にかかりやすくなるという結果が得られました。つまり、夜間の睡眠に影響しない範囲での昼寝が好影響をもたらすというわけです。

 さて、脳の健康にとって重要なのが知的トレーニングです。前述した通り、神経というのは一定でなく可塑性があり、外圧が働けばシナプスが増えるなど効率化されます。そして、トレーニングによって神経細胞のシナプスはどんどん増えていきます。

 現在、ボードゲームやマージャンなどさまざまな方法が提唱されていますが、やはり世界の主流はコンピューターゲーム。それも記憶力だけでなく推理力や注意力といった、複合的な認知力を鍛える要素を備えたものが人気です。海外の論文では、1回30分以内、週3回プレーするのが最も効果的であるという報告もなされています。

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