カンボジアの“中国製”新空港が大不評 「遠すぎ」「飲食店が一軒もない」…「習近平」も来ない?

国際

  • ブックマーク

Advertisement

 10月16日にプレオープンしたカンボジアの「シェムリアップ・アンコール国際空港」の評判がよくない。この空港はアンコールワット観光の基点になる都市シェムリアップから東へ約45キロの場所に、中国企業3社が出資し建設した。総工費は11億ドル(約1,600億円)といわれ、大型機も離発着できる3,600メートルの滑走路を備え、敷地面積は北海道の新千歳空港に匹敵する。2024年には700万人が利用すると見込んでいるというのだが……。

「とにかく遠い。以前の空港(※閉鎖されたシェムリアップ国際空港)は市内まで20分ほどだったけど、新空港はバスで1時間半近くかかる。そのバスも1日4便しかない。バス代は8ドル(約1,200円)だけど、タクシーを使うと35ドル(約5,200円)。首都のプノンペンに行こうと思ったら、誰だってバスを選びますよ。安い上に、所要時間もあまり変わらないんですから」

 と、シェムリアップでレストランを経営するMさん(51)はいう。

シェムリアップ市内から国内線でプノンペンに行く場合、空港までの所要時間やフライト時間、搭乗手続きにかかる時間をざっと計算すると5時間ほど。そして飛行機代は約100ドル(約1万5,000円)。一方、シェムリアップとプノンペンを結ぶバン型のバスは30分おきの運行で5時間半ほど。運賃は15ドル(約2,200円)で済む。飛行機に勝ち目はない。

 国際線も同じようなことが起きている。シェムリアップから隣国・タイのバンコクまではバスで6時間半ほどかかり、30ドル(約4,400円)。飛行機を使った場合、家からバンコクのホテルまでの時間を考えるとやはり6時間半ほどかかる計算だ。飛行機代は200ドル(約3万円)前後で、さらにシェムリアップの空港までの交通費を加えると……こちらもバスに軍配が上がる。

Wi-Fiもつながらない

 関係者の怒りの矛先は、開港を主導した中国に向かっている。近隣国からのフライトはあるにはあるが、新空港になる前は週に数便あった中国からのフライトが、なぜか週に2便ほどに減っているのだ。

「新空港が遠くて不便だからっていうわけではないと思うんですが」

と、旅行会社を経営するLさん(60)は首を傾げる。

「新空港を運営するのは中国の会社なんですが、建物は大きいけど設備は貧弱というかなにもない。Wi-Fiもつながらないし、ラウンジもない。レストランも一軒もないんです。利用者は小さな売店で飲み物や軽食を買うしかない。ホームページもほとんど更新されない。以前の中国だったら、威信をかけてドーンとやるでしょ。なにか変なんです」

次ページ:中国からのアクションなし

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。