クーアンドリクの動物虐待疑惑に業界内から“反旗” 「過去32人を出向」”蜜月関係”だったペット保険会社が調査を開始

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 大量繁殖と大量販売――。ペット業界の闇が今、暴かれつつある。最大手「クーアンドリク」による“生命軽視”の営業実態が暴かれ、ここにきてついに業界内からも“反乱”の狼煙があがった。これまで蜜月関係にあった、損害保険のトップ企業が動き出したのだ。

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 ビッグモーターよりも悪質だ――。

 ペットショップ最大手「Coo&RIKU」(クーアンドリク、以下「クーリク」と表記)の諸問題について8月以降、本誌(「週刊新潮」)やデイリー新潮が報じてきた記事に対し、こうした声が数多く寄せられた。

 理由はひとつ。クーリクが扱うのが動物の「命」だからだ。

 たとえば元社員の告発はこうだった。コロナ禍におけるペットブームに乗じてクーリクは自社繁殖場を全国11カ所にまで拡大したが、そこでは日々、惨たらしい光景が展開されている。ゴキブリだらけの不衛生な環境に犬猫が押し込められ、職員が手にするタオルで時に首を押さえつけられて、交尾を無理強いされる。

 内部資料には繁殖現場での「D犬率」なる数字が見えるが、DはDEADの頭文字、つまり死亡率を意味し、それは最も高かった月で3割を超えていた。

1年間で751頭もの犬猫が命を落とした事実

 大量生産ありきの繁殖場での過酷な環境を生き抜いた子犬や子猫は、狭いバスケットに入れられ、全国の200以上の店舗へ送られる。その過程でも、昨年8月からの1年間で751頭もの犬猫が命を落とした事実も判明した。

「店舗を訪れた客は、こうした悲劇を知るよしもなく、通年行われている『半額キャンペーン』を利用し、手頃な価格で犬猫を購入します。しかし、引き渡し後、生体に潜伏していた病気や遺伝性疾患が発覚し、トラブルになるケースが後を絶ちません」(現役社員)

 2021年に秋葉原店で購入したトイ・プードルをめぐり、クーリクとの間で裁判沙汰に発展したAさんのケースを見てみよう。

 Aさんの愛犬は購入3カ月後に後ろ足を引きずるようになり、獣医師から「パテラ」(膝蓋骨脱臼)と診断された。いわゆる膝の“お皿”の骨が正常ではない位置にズレてついているために、膝が脱臼してしまう疾患である。

 ほとんどのケースが先天性とされ、実際、獣医師にそう診断された。Aさんがその結果をクーリク側に伝えると、店員から信じがたい言葉が返ってきた。

「治療費は出せませんが、他の犬と交換はできます」

 Aさんは、その時の怒りをこう語った。

「何を言っているんだと。家族なんだから見捨てるわけがないでしょう。交換した後、うちの子を殺すつもりじゃないかとも思った」

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