クーアンドリクの動物虐待疑惑に業界内から“反旗” 「過去32人を出向」”蜜月関係”だったペット保険会社が調査を開始

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100万円争奪戦

 アニコムは保険商品をつくり、クーリクがそれを売る。同時期に産声を上げた両社はこの20年間、二人三脚でそれぞれ業容を拡大してきた。ただし、力関係は「クーリクの方が圧倒的に上」とはクーリクの元社員。

「ペットショップ側は“他の保険会社に切り替える”という姿勢を見せて揺さぶりをかけることができますから。なので、クーリクが店を新規オープンすると、アニコムから多い時で1千万円単位の広告宣伝費が供与され、数人の社員が手伝いにやって来ていましたね。数年前まではクーリクの要請に応えてアニコムから出向してくる社員もいて、中には店長まで任された人もいましたよ」

 この元社員が提供してくれたのは、札束のイラストが描かれた販促ポスター。それこそが、カネで結ばれた両社の関係を物語る。

〈100万円争奪戦 四千頭の頂を超えろ〉

〈アニコムノルマ達成店舗に山分けインセンティブ〉

 元社員が解説する。

「これは19年ごろにクーリクが主催した、1カ月間の保険契約数を店舗間で競うイベントです。ノルマを達成した店舗には100万円が支給されました。原資を出しているのはもちろん、アニコムです。他にもアニコム主催で、成績上位者に千円程度の金券が配られる販促キャンペーンも行われていました」

 こうした相互依存の関係で、各々業界ナンバー1の地位を築いたクーリクとアニコム。だが今は、そんな蜜月の仲にすっかり綻びが生じているという。

不信感が沸点に

「2年くらい前、クーリクが新規オープン店の保険代理店契約を業界2位の『アイペット損害保険』に切り替えたからです。おそらくアニコムとの間で手数料や広告宣伝費に関する値段交渉が決裂したのでしょう」(前出X氏)

 さらに、8月から本誌やデイリー新潮による報道が始まり、いよいよ亀裂は深まったとも。

「積もりに積もったアニコムのクーリクに対する不信感が沸点に達した、と言えます。無論、アニコムとて社員を出向させていたくらいですから、ある程度はクーリクのアコギなビジネスは把握していた。ただ、まさかこうもデタラメが横行しているとは知らなかった。上場企業として、コンプライアンスどこ吹く風の企業と取引を継続するのはさすがにまずいだろうという話になったんです」(同)

 そして、とうとうアニコムは動き出した。

「今もクーリクの約200店舗で代理店契約が継続中ですが、これを機に契約を解除できないかと検討し始めているようです。アニコムにしてみれば、“格下”の有限会社にこき使われてきた恨みを晴らす、といった思いもあることでしょう」(同)

 はたして、X氏が語るようなアニコムの“逆襲”は本当に始まったのか。同社に本誌が質問状を送付すると、ナンバー2の野田真吾社長(47)が対面取材に応じた。

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