店舗責任者が旅行中に「猫が見殺しに」…「クーアンドリク」直営の猫カフェで起きた「アルバイト女性5人」の“反乱” 労働組合に加入して闘った

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1歳になると繁殖場に送られる運命だった猫たち

 周囲がA子さんを訝った理由はもう一つ、彼女が持つ“別の顔”だった。

「彼女は現役の“地下アイドル”として活動していたんです。芸名も持っており、SNSでは堂々と顔を出して、胸の開いた水着写真を載せたり、ファンたちと交流をしていました」(X氏)

 そんな謎めいた店舗責任者の仕切りで、プチマリー仙台青葉店は17年11月末にオープンした。だが、スタートから法令違反を犯していた。動物愛護管理法の規定で、猫カフェには動物専門学校を卒業するなどした動物取扱責任者を常駐させるよう定められているが、同店では有資格者が見つからず、無資格者のアルバイトを据えていたのだ。

「何の経験もないアルバイトに、クーリクで働いていたよう職歴を偽るよう強要し、デタラメの申請書を出させていました」(X氏)

 在籍していた約20匹の猫も、店で飼うというよりは、クーリクが展開する動物ビジネスの中で一時的に利用しているだけだった。全員がメスの子猫で、1歳になるとクーリクの繁殖場に送られ、代わりの子猫が入ってくるシステムだった。

「避妊されていないので、発情期になるとマーキングのため、あちこちにおしっこをしてしまう始末。アルバイトたちは、1歳になって繁殖場に連れて行かれる猫たちを泣きながら見送っていました」(X氏)

体調が悪いまま放置

 客にはそんな事情は全く見えない。かわいい子猫ばかりを揃っていると、プチマリーは地域でたちまち評判になり、土日には行列ができるほど盛況を呈した。一方、店のほうは、オープンから1カ月足らずでオープニングスタッフの4人がバタバタと退職。理由は「A子さんとの折り合いがうまくいかなかったから」(X氏)。オープンから3カ月ほど経過すると、A子さんは月に1回程度しか店に顔を出さなくなり、LINEだけでアルバイトを管理するようになった。

 その後、A子さんと残ったアルバイトとの間で、猫の管理方法をめぐって激しく対立していくのである。きっかけは、ベンガル猫の「るる」だった。

「在籍していた猫たちのほとんどが血便や軟便をしていましたが、るるの体調はとりわけ悪かった。オープンから在籍していましたが、4カ月くらい経った18年3月頃にはぐったりすることが多くなり、食も細くなった。その頃から、店長をさせられていたアルバイトが中心になってA子さんに対し、るるに何らかの対策を講じるよう訴え続けましたが、『そのうち移動させる』と言うのみで、病院に連れて行くなどの適切な指示は一切ありませんでした」(X氏)

 そこで容体が悪くなるたびに、近隣にあるクーリク仙台太白店 に併設されたグループ企業の「海動物病院」の獣医師に往診を頼んだが、

「獣医師もエリア内のクーリク店舗の動物を診なければならないので忙しく、週に1回程度しか来られない。往診に来ても15分ほど診るだけで、薬を置いていくくらいの措置しかしませんでした。るるは日に日にやつれていきました」(X氏)

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