店舗責任者が旅行中に「猫が見殺しに」…「クーアンドリク」直営の猫カフェで起きた「アルバイト女性5人」の“反乱” 労働組合に加入して闘った

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地域の労働組合へ

 X氏によると、その後、A子さんは仙台青葉店の責任者から手を引き、別の女性が店を仕切るようになった。だが、A子さんに反発した5人への待遇はあからさまに悪くなった。店長は降格され、時給が950円から900円に減額。新たに6人のアルバイトが採用されて、5人のシフトは徐々に減らされていった。

「5人は会社の対応に憤り、労働基準監督署に駆け込みましたが、まったく相手にされませんでした。そんな時、ある女性の親が『労働組合に相談したら』と提案したのです。そして5人は、アルバイトが一人でも加入できる労働組合をネットで探しました」(X氏)

 彼女たちが訪ねたのは、全労連・全国一般労働組合の傘下にある宮城一般労働組合という組織だった。現在もそこで顧問を務める及川薫氏は、藁をもすがる思いで訪ねてきた彼女たちのことを覚えていた。

「びっくりしましたよ。20歳をちょっと過ぎたくらいの子もいたし、労働者の権利についての基本的な知識も持っていないような子ばかりでした。けれど、鼻息だけは荒かった。不当な扱いをする会社に目に物見せてくれって意気込みです。そんな彼女たちの心意気に応えようと、我々も仲間として受け入れ、全面的に支援したのです」

「働かざる者食うべからず」

 及川氏も団体交渉に同席し、話し合いを重ねたが決裂。裁判に発展した。その間、彼女たちのシフトは減らされ、事実上の解雇状態になった。

「清算されていない立て替え経費や交通費の未払い、休憩中も外出できないなどのたくさんの労務問題ありました。結局、彼女たちの第二の人生もあるということで、裁判所の勧めに従って和解となりましたが、対応を始めてから10カ月くらいかかった記憶があります。勝訴的な和解でしたよ」(及川氏)

 そして5人は、店に戻ることもなく、それぞれの新しい人生を進み出したという。なお当時、5人の“決起”に、A子さんはSNSでこのように反論していた。

《 働かざる者食うべからずって言葉があるけど、労働者である労働力に給与を支払っているわけでボランティア精神で雇っているわけではない》(18年12月7日)

《 横領、責任転嫁、不正行為をしていたモンスターアルバイターたちが辞めても尚、会社への嫌がらせや不正行為を行っている模様》(19年1月7日)

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