「金庫番の報酬は500万円で実行犯の5~10倍」 ルフィ事件、「情報屋」「金庫番」らの相関図が明らかに!【捜査資料入手】

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 広域強盗団「ルフィ事件」は、14都府県20件に及び死者も出た。本誌(「週刊新潮」)は事件の捜査資料を入手。そこから浮かび上がったのは重要な役割を担う輩がなお社会に身を潜めている事実だ。これでは第2のルフィが現れかねない。世上を震撼させた凶悪犯罪の全貌とは――。

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 東京・狛江の多摩川の土手沿いに立つ豪奢な邸宅。その近隣に停められた車の中には武骨な4人の男が息を潜めていた。一人がiPhoneのスピーカーボタンを押すとバカ丁寧な物言いの男の声が流れてきた。

「は~い、皆さん、いいですか。これから全員でボコボコにしてくださいね。手を出さない人には一銭も報酬は払いませんからね。ただし……、殺しちゃいけませんよ」

 声の主は遠くフィリピンの収容所にいるキムこと渡邉優樹被告(39)。しかしこの直後、自宅に侵入された90歳の女性、大塩衣与(きぬよ)さんは彼らの暴行により命を奪われた――。

死刑にできなくていいのか

 今年1月の狛江事件で警視庁はほどなく実行犯らを強盗殺人容疑で逮捕した。しかし、事件を受けた東京地検は“罪一等”減じ、強盗致死で起訴。彼らが主犯の指示により「殺すつもりはなかった」と抗弁したからだ。地検は確実に立証できるよう安全策を取ったというわけである。なお指示役は東京・中野や広島など他の現場でも最後の電話指示で必ずこのメッセージを付け加えることを忘れなかった。そのため検察当局は全国規模で起きたルフィ事件を強盗致死と強盗傷人(傷害)、強盗致傷でまとめる大方針を固めたのだ。

 もっとも強盗殺人なら被害者が1人でも死刑にできる可能性があるが、殺意のない強盗致死では無期懲役以下が量刑の相場だ。

 闇バイトに応募してきた借金苦の人間を使って、金品ばかりか人の命まで奪い、ぬくぬくとぜいたくな収容所ライフを満喫してきた指示役たち。かくも強欲で残忍なルフィらを死刑にできなくていいのか。そう疑念を抱くのが、世間の真っ当な感覚だろう。

 だが8月30日、これまでの検察の方針を覆すような動きが広島であった。昨年12月21日、市内の時計等販売買取店兼自宅が狙われた一件だ。

「渡邉や今村磨人(きよと)(39)の指示を受けた6名が店に押し入り、親子3人を襲い現金250万円や高級腕時計等約140点を奪取。被害総額は約2500万円です。長男の重道伸次さん(50)は頭部をモンキーレンチで殴打され脳挫傷、急性硬膜下血腫に陥り、現在も意識不明の重体です」(社会部デスク)

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