「美少女イラスト」炎上騒動はなぜ繰り返すのか 「許せない!」と抗議した女性クレーマーの意外すぎる正体

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主催者はクレームに簡単に屈するな

 二次元美少女の表現が性的かどうか、卑猥かどうか。クレーマーの意見を読むと、ほとんどが些末な問題でしかない。むしろ長年この業界に関わっている筆者ですら、「よく気づいたな…」と感心してしまうほど、クレーマーのほうがじっくりと二次元美少女を観察しているのだ。

 もちろん、「絵が嫌いだ」「卑猥だ」などとクレームをつけるのは自由である。しかし、あまりに理不尽なクレームには、しっかりと主催者が対応することが大切だ。筆者の「かがり美少女イラストコンテスト」の告知が初めて新聞に出た時は、役場に「盆踊りの伝統を汚すな」というクレームがきた(役場は関わっていないので関係がないのだが)。こうした声にも筆者は対応したものの、修正の要求には一切応じなかった。

 ところが、昨今は主催者側があっさりとクレームを受け入れる例が目立つのである。掲示物を撤去したり、修正を加えたりしてしまうのだ。日本人は過度にクレームを恐れる傾向があるが、これは由々しき問題であり、まったく感心しない。クレーマーに成功体験を与えてしまうと増長する可能性があるためだ。

二次元美少女への愛が試されている

 筆者が見る限り、いわゆる「表現の自由」の問題の多くは主催者がクレームを突っぱねるか、無視すれば解決する問題ばかりである。もしくは私のように徹底的に理論武装して対応すればいいのだ。

 主催者がたった1件の抗議に屈し、撤回するなどという前例を作ってはならない。その後に続く関係者が委縮するか、二次元美少女の企画を俎上に上げなくなってしまう。結果的に、表現の自由が損なわれる結果になってしまうのだ。

 クレームは一つの意見として大切だ。筆者も仕事でクレームをもとに改善を図った例はある。しかし、そればかりに気を取られ、多数派である支持者の声をないがしろにしてしまっている主催者がなんと多いことか。二次元美少女を愛するなら、理不尽なクレームからしっかりとキャラクターを守り抜くのが主催者の務めではないだろうか。少しくらいのことでは信念を曲げない、強い意志が求められているのだ。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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