一家全員逮捕!「札幌・首切り殺人事件」 “キーパーソン”に浮上した父親が専門誌に記した「医学的に“正しい”との信念を一旦手放すとき……」

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 父と娘だけでなく、母親まで逮捕される異例の展開となった、札幌ススキノのホテルで発生した「首切断」事件――。被害男性(62)と一緒にホテルに入室したのは娘の田村瑠奈容疑者(29)と見られているが、父親で医師の田村修容疑者(59)と母親の田村浩子容疑者(60)も死体の損壊や遺棄に関与。さらに父親はホテルまでの送迎役と凶器の購入準備にも関わったとされ、事件の「キーパーソン」として急浮上。謎の深まる、その「素顔」とは。

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〈医学的に“これが絶対正しい”と思われる信念を一旦手放すのは、内心穏やかにはいきません。しかしながら(中略)現実的に折り合う落としどころを探るスタンスを心がけましょう〉

 田村修容疑者が2021年7月発刊の医学専門雑誌に寄せた文章の一部である。精神科医の修容疑者に対し、同じ医師から“クレーマーっぽい患者への対応”を訊ねられた際の回答だが、他にも“対応が困難な患者への対処法”について、こう説いている。

〈あなたにとっては本当に「困った人」でしょうが、当人も何かに「困っている人」です。不適切な「問題行動」は、何らかの「問題提起行動」と捉え直すことも可能です〉

〈困難な状況をコントロールするには、医学的な正しさだけでは絶対うまくいきません〉

 いまとなっては“深読み”したくもなるが、専門誌に同業者の悩みに答えるアドバイザー役として選ばれるほど、修容疑者は「優秀な精神科医」として地元では知られていたという。

「弱者の味方」

 修容疑者が勤務するのは札幌市にある勤医協中央病院。同病院は24日、「わたくしどももまったく事情が分からない状況で(中略)ただ驚いているところです」とのコメントを発表。デイリー新潮の取材にも「コメントの通りで、それ以上はお答えできない」と回答した。

 精神科医として、修容疑者が熱心に取り組んでいたのは、海外派兵自衛官などに見られる心的外傷ストレス障害(PTSD)の一種である「コンバットストレス」や、アルコール依存症患者などが抱える精神疾患の問題だったという。

 実際、前述の医学専門誌でアルコール依存症患者へのアプローチについて、修容疑者は強い態度で断酒を求めるのでなく、〈「このままのペースで飲み続けるよりは、少しでもましな未来への一歩」について話し〉合うことを勧めている。

 道内の精神科医の一人は「田村さんは他にもホームレスなど、社会的に弱い立場に置かれた患者へ寄り添う姿勢を見せる医師として評判だった」と話した。

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