大国外交、思想統制の強化…「民主的に開かれた社会に向かって…」は“今は昔”の中国が行き着く先

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不動産市場の悪化で経済がデフレ化

「以前に見せたことがないほど躍起になって、解決策を求めている」

 中国政府が開催した経済緊急会合の出席者は、異口同音にこのように述べた。ブルームバーグ(6月14日付)によると、中国高官はこの数週間、実業界幹部やエコノミストとの会合を立て続けに開き、経済の活性化や不動産業界再生の方法について助言を求めている。

 経済指標の大半が中国経済の失速を示していることが背景にある。中国の5月のドル建ての輸出は、前年同月を7.5%下回った。輸出企業がリストラを断行しているため、全土でストライキが頻発している(6月15日付ロイター)。

 中国の資金需要も芳しくない。中国人民銀行(中央銀行)によれば、5月の経済全体のファイナンス規模は昨年同月の2兆8000億元(約41兆1000億円)から1兆6000億元(約31兆2000億円)に急減している。

 最も心配なのは中国経済がデフレ化していることだ。5月の消費者物価指数(CPI)も前年比0.2%の上昇にとどまり、卸売物価指数(PPI)は4.6%下落した。PPIは8カ月連続でマイナスを記録している。

 その大本の原因は不動産市場の悪化だ。今年2月から3月にかけて住宅市場は回復基調にあったが、4月に入ると早くも息切れした。4月の主要50都市の新築取引面積は前月に比べて25%減り、5月も1割落ち込んでいる(6月10日付日本経済新聞)。

 米国と同様、中国でも商業用不動産市場に異変が生じている。

 多額の債務を抱える不動産開発企業が、富裕地域にあるショッピングモール最大20カ所の売却を検討している。世界の商業用不動産市場で賃料が最も高い地域の1つである香港でも、超高層オフィスビルの空室率がかつてない高水準となっている(5月24日・6月5日付ブルームバーグ)。

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