猿之助事件に専門家は「この量の薬では死ねないはず」 未成年者への性加害疑惑も新たに浮上

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被害者の中にはローティーンが

 その過程で捜査1課の刑事たちは、猿之助周辺の関係者に対して慎重に事情聴取を重ねてきた。別の捜査幹部が声を潜めて語る。

「猿之助は複数の人間に手を出していましたが、実はその中には未成年者が含まれていたという情報がある。しかも被害に遭ったのはローティーンで、その親は“まだ判断力も乏しい子どもになんてことをしてくれたのか”と強い被害感情をあらわにしているという話です。現時点で被害届こそ提出されていませんが、今後、出させる可能性は十分にあります」

 社会が性加害の問題に厳しい目を向けている世相を背景に、捜査員の間にも「放置していい問題ではない」という空気が醸成されており、

「最終的には警察上層部の判断になるものの、強制わいせつ罪ないし、強制性交罪での立件も視野に入れ慎重に捜査を続けている」

 と、この関係者は言うのだ。

自殺には1万錠が必要

 もっとも、警視庁が現在、事件解明の本丸として一番に注力しているのは薬品の分析、鑑定である。

「目下、科捜研や警察庁の科警研、さらには民間業者などにも依頼し、薬の成分の分析、鑑定を進めています。薬物の服用が両親の死に強い影響を及ぼした原因だと本当にいえるのか、調べを進めているのです」

 そして、ここにもう一つの焦点がある。

「フルニトラゼパムを服用して死に至るためには、尋常ならざる量を飲まなければならない」(同)

 この点、医薬情報研究所エス・アイ・シーの堀美智子氏に解説願うと、

「他の疾患を抱えていたり、別の薬を併用していたりすれば話は別ですけれど、通常であればフルニトラゼパムの服用だけで死に至ることはありません」

 と指摘するのである。

「オスのラットにフルニトラゼパムを経口摂取させた際、半数が死に至る値を基準にして、人間が死に至る用量を推定してみましょう。すなわち、体重50キロの男性の半数が死に至るためには2万ミリグラムもの量が必要です。サイレースにおけるフルニトラゼパムの含有量を1錠あたり2ミリグラムとすると、1万錠分も必要になるのです」(同)

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