浮上した豆腐屋問題…5月21日の「サザエさん」視聴率に「終わりの始まり」を感じたテレビ局員

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昭和の日曜夜

「サザエさん」にどこまで現在の世相を反映させるかは、以前から議論を巻き起こしてきた。有名な話だが、磯野家の茶の間に大型の液晶テレビは置かれていない。廊下には依然として黒電話がある。

 その一方で、タワーマンションやガラケーと思しき携帯電話、デジタルカメラなどが登場したエピソードも放映されている。その際はネット上が大騒ぎになった。

「それだけ視聴者のライフスタイルが変わったということです。フジテレビがアニメ版の放送を開始した1969(昭和44)年といえば、まだまだ三世代同居は普通でした。今となっては、お茶の間で親子が夕食を食べながらテレビを見るという家庭は天然記念物、絶滅危惧種に等しい存在になっています」(同・ディレクター)

 例えば、2003年は平成15年だが、まだまだ“昭和”のテレビ視聴習慣を色濃く残していた。5月25日の日曜夜、プロ野球のナイター中継を除く高視聴率番組を放送時間順に並べてみよう。

▼17:30「笑点」(日テレ)【19・1%】
▼18:00「ちびまる子ちゃん」(フジ)【12・9%】
▼18:30「サザエさん」(フジ)【19・4%】
▼19:00「ザ!鉄腕!DASH!!」(日テレ)【16・5%】
▼20:00「大河ドラマ 武蔵 MUSASHI」(NHK総合)【16・8%】
▼21:00「行列のできる法律相談所」(日テレ)【20・6%】
▼22:00「おしゃれカンケイ」(日テレ)【18・0%】

コア視聴率

「笑点」から「サザエさん」を経て、最後は「おしゃれカンケイ」──。その後は風呂に入って就寝という視聴者が大多数だったことがよく分かる。

「核家族の増加、スマホの普及、そしてコロナ禍を経て、日本のお茶の間は大きく変わりました。声優さんも初回から出演しているのはサザエさん役の加藤みどりさんだけです。その加藤さんも1939(昭和14)年生まれの83歳。スポンサーも長らく東芝の1社提供でしたが、今は複数社となりました。オープニングでサザエさんが『明日を作る技術の東芝の提供でお送りいたします』と提供読みを行い、タラちゃんが追っかけて『いたしまーす』と言っていたのを覚えている視聴者も、どんどん少なくなっているのです」(同・ディレクター)

 それでも「サザエさん」の放送が続いているのは、視聴率調査で存在感を示すことがあるからだという。

「世帯の最高視聴率は1979(昭和54)年の39・4%、データが残っている1989(平成元)年から2008(平成20)年までの20年間の平均視聴率は22・3%。この頃はアニメ番組というカテゴリーを超え、娯楽番組のトップとして地上波を牽引していました。今では通常7~9%という視聴率になってしまいましたが、それでもコア視聴率(13~49歳の男女)とタイムシフト(録画)視聴率の高さはさすがという印象を受けます」(同・ディレクター)

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