1時間座っているだけで余命が22分削られる?  日本人は世界一「座りすぎ」専門家が指摘

ドクター新潮 ライフ

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WHOも座りすぎのリスクに言及

 2020年、WHO(世界保健機関)はそれまでの「身体活動に関するガイドライン」を改訂し、新たに「身体活動・座位行動に関するガイドライン」を発表しました。人々の健康増進においては、運動やスポーツをすることだけではなく、座りすぎを解消することが極めて大事であるとの方針を示した形です。

 ウオーキングやランニングをしたり、ジムに通って体を動かすことが重要であるのは言うまでもありません。一方で、それと同じくらい座位時間を減らすことで死亡リスクなどを低減できることが、先の「テレビ視聴時間と余命」のデータ以外にも、さまざまな調査で明らかになっているのです。

 例えば、やはりオーストラリアで実施された約22万人を対象とした調査では、〈1日11時間以上座っている人は、4時間未満の人より死亡リスクが40%高まる〉という結果が報告されています。

さまざまな調査報告が

 他にも、ざっと挙げるだけでもこんな調査報告があります。

〈車移動で座る時間が週平均10時間以上の成人男性は、週4時間未満の男性と比べて心血管疾患による死亡リスクが82%高い〉

〈1日5時間以上テレビを見ると、2時間半未満の人と比べてエコノミークラス症候群のリスクが2.5倍高まる〉

〈世界で年間43万人以上が座って過ごす時間が長すぎることが原因で死んでいる〉

〈仕事中の座位時間が2時間未満の男性は、6~8時間の男性と比べて結腸がんリスクが37%低い〉

 また、歩行は人類の基本活動であり、その速度は老化度合いを反映しているともいえますが、テレビ視聴時間が長い高齢者ほど、10年後の歩行速度が遅くなるという調査報告もあります。

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