実は自民党員だった26歳芦屋市長 選管を当惑させた「覆面ポスター」の意図とは?

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 大学を出て1年に満たない若者が、史上最年少の26歳で当選を果たし市長となったニュースは、連休中の列島を駆け巡った。エリート街道をまい進した経歴と爽やかなルックスに期待の声が高まるが、選挙戦では知られざる「もう一つの顔」を見せていて……。

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「地盤」「看板」「鞄」の「三バン」を持つ候補者が選挙戦を制す。国政から地方の選挙に至るまで、日本政界で語り継がれてきた“必勝の法則”である。

 ここでいう「地盤」とは、選挙区内における地縁血縁などの支持基盤。「看板」は、政治家の名を記した立看板やポスターが数多く乱立する様が由来で、有権者への知名度を意味する。そして「鞄」は金を入れるもの、つまり豊富な選挙資金を指す。いずれも多選や2世の候補に有利な要素であることから、「三バン」は政界の新陳代謝を阻むものでもあった。

 そんな選挙の世界に風穴を開け、期待の新星として大きく報じられたのが、5月1日付で兵庫県芦屋市の新市長となった高島崚輔氏だ。26歳2カ月での当選は、全国の市長として史上最年少で、先の統一地方選を経て一躍“時の人”になったのである。

若さと華麗なる経歴

 大阪府箕面市で生まれ育った彼は“西の芦屋、東の田園調布”と並び称される日本有数の高級住宅街において「地盤」もなければ、政治の分野で何の「看板」も持っていなかった。加えて一般的なサラリーマン家庭に育ったがゆえに、「鞄」もないとされている。

 そんな彼が、2期目を目指す現職やタカラジェンヌ出身の元県議、地元テレビ局の元アナウンサーにして元市議という対立候補たちを前に打ち出した武器は、前述した「若さ」と、「華麗なる経歴」だった。

 日本屈指の難関校・灘中高から東京大学文科一類に入学するも中退し、米ハーバード大学に進学。在学中にNPO法人の代表理事に就任し若者の留学支援を行っていたが、2019年の休学中に芦屋市役所でインターンシップを3カ月間経験した際、街の魅力や問題点に気付いた。昨年5月に大学を卒業し、満を持して選挙戦に挑んだわけである。

 そんな物語を、令和の若者らしくSNSなどで情報発信した結果、政治に無関心な老若男女、いわゆる無党派層から大きく支持された。〈特定の支持組織を持たず、中高の同級生やボランティアの協力を得て、草の根選挙を展開した〉(4月24日付読売新聞)のだ。

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