「中国では誰でも拘束される可能性が」「大使館も役に立たない」 身に覚えのない罪で6年間服役した男性が明かす凄絶な獄中生活

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太陽を見たのは7カ月で1度だけ

 7カ月に及んだ監視生活の間、太陽を目にしたのは1度だけ。それもわずか15分だったという。

「常に見られている生活は大変なストレスでした。部屋からは出られず、取り調べとシャワー以外はベッドに座っているだけ。運動は部屋の中を往復するウオーキングと、腕立て伏せやストレッチだけでした」

 粗末な食事も苦痛だった。

「ご飯はパサパサ。おかずはモヤシやホウレン草だけを炒めた1品のみ。“肉が欲しい”と頼むと聞き入れてくれましたが、後から“頼みを聞いたから素直に白状しろ”と言われたり」

 翌年2月、鈴木氏はスパイ容疑で正式に逮捕された。拘置所に移送され、5月には日本の公安調査庁から中国関連の情報収集とその提供を請け負った罪、さらに平成25年に中国の外交官から北朝鮮関連の情報を聞き出し、それを公安調査庁に提供したとする二つの罪で起訴されたという。

「とくに問題視されたのは、旧知の外交官との酒席での会話。北朝鮮の要人が粛清されたとのニュースを聞いて“どうなんですか”と尋ねたら、相手は“知りません”と。こんな世間話がスパイ行為に当たるというんです」

30キロ減った体重

 無論、鈴木氏は無罪を主張し、日本大使館の助けを期待した。が、彼らはほとんど役に立たなかったそうだ。

「大使館員との面会は原則1カ月に1回。それでも中国側は“忙しい”と許可しないことも多いんです。ようやく会えた大使館員に“起訴内容は絶対に認めない”と伝えたら、傍で聞いている国家安全局員から“そんなことを言うなら(面会を)中止するぞ”と脅されたこともありました」

 ここでも大使館員は中国側の言いなりだった。

「抗議すらせず“言い方を変えましょう”と。弁護士の紹介を頼むと“36万元で500万円以上。高いですよ”と言う。しょせん、人ごとなんでしょうね」

 ある時、国家安全局員の一人がうそぶいたという。

「スパイや国家機密の定義については何も説明しないくせに、取り調べ中に“一つだけ教えてやるぞ。新華社通信が報じていないものは、すべて機密と解釈するんだ”と。そんな話、聞いたことがありませんよ」

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