“濃い味付け”は子や孫にも悪影響、塩分の70%は「加工食品」から 今すぐ減塩すべき理由とは?

ドクター新潮 ライフ

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男女ともに目標量の2倍の食塩を摂取

 今回のテーマである「減塩」もそうです。

 塩の取りすぎが高血圧に良くないことは、もう何十年も前から口を酸っぱくして言われ続けている。それでも2017年の国民健康・栄養調査によれば、日本の成人男性が1日に摂取する食塩の量は10.8グラム。女性が9.1グラムです。世界保健機関(WHO)が推奨する食塩摂取の目標量は1日5グラム未満ですから、日本人は男女とも目標量の2倍前後の食塩を摂取してしまっている計算です。

 厚労省が公表している食事摂取基準では、日本人の食塩摂取の目標量は男性が1日7.5グラム未満、女性が6.5グラム未満に設定されています。WHOの基準とは開きがありますが、これは実現可能性も考慮した上で、当面の目標として設定されているためです。

40億年前の海水と同じ濃度

 現代の日本人がWHOの基準に合わせて突然、食塩の摂取量を半減させるのはおそらく不可能ですし、急激な減塩はかえって健康被害を起こしかねません。ところが、私たちはその当面の目標ですら実現できていない状況なのです。

 まずは1日1グラムの減塩から。「たった1グラムじゃ何も変わらないさ」、そう考えるのも高血圧パラドックスを生み出す原因です。

 たった1グラムの食塩がわれわれの体にどのような影響を与えるのか――それを知るためには、まずは時間を40億年ほど巻き戻す必要があります。

 私たちの体液は真水ではなく、少しナトリウムが含まれている。いわば薄い塩水です。そして、体内の塩分濃度は常に一定に保たれており、その濃度は誰もが0.9%。実は、これは地球上に生命が誕生した40億年前の海水の濃度と同じだといわれているのです。

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