“濃い味付け”は子や孫にも悪影響、塩分の70%は「加工食品」から 今すぐ減塩すべき理由とは?

ドクター新潮 ライフ

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“濃い味付け”で子や孫も…

 世界ではすでに社会全体で減塩に取り組むのが常識となりつつあります。例えば、イギリスでは06年に、加工食品に含まれる食塩量を減らすよう食品メーカーに促す目標値を政府が設定。英国全体で10年間で20~40%の減塩に成功したのです。これにより平均血圧は3mmHg/1.4mmHg低下し、脳卒中や心臓病による死亡も40%減少したといわれています。

 とはいえ、いきなり“社会全体で減塩を”と言っても難しいでしょうから、まずは家族全員で取り組むようにしてみて下さい。高血圧には遺伝の要素もありますが、何よりも大きいのは「家庭の味」の影響。味付けの濃い家庭で育った子どもは薄味では満足できず、結局、大人になって塩分過多による高血圧を発症することになりかねません。

 冒頭でもお話ししましたが、もはや下げられない血圧はありません。血圧が下がらないなら医者を変えるべきだとさえいえる。血圧に直結する「塩分」もそれくらいの覚悟で減らすべきです。

 自分のためだったものが、ひいては子のため、孫のためになるのが「減塩」です。「わかっちゃいるけどやめられない」は卒業して、今日、この後のお食事から、是非、減塩を実践してみて下さい。

伊藤貞嘉(いとうさだよし)
東北大学名誉教授・公立刈田綜合病院特別管理者。1954年生まれ。東北大学医学部を卒業し、米ヘンリーフォード病院内科シニアスタッフ、東北大学医学部教授、同大理事などを経て19年より現職。腎臓が食塩を感知して機能を調節する仕組みを世界で初めて証明。日本高血圧学会理事長などを歴任し、紫綬褒章、文部科学大臣表彰、米国高血圧学会最高栄誉賞など受賞も多数。

週刊新潮 2023年4月20日号掲載

特別読物「『高血圧パラドックス』との闘いに勝つ」より

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