“濃い味付け”は子や孫にも悪影響、塩分の70%は「加工食品」から 今すぐ減塩すべき理由とは?

ドクター新潮 ライフ

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1日に濾過される塩分は1.35キログラム

 ちなみに腎臓で1日に濾過される塩分の量はどれくらいか。濾過される血液の量が150リットルだとして、その0.9%ですから実に1.35キログラムにも及びます。

 ここで疑問に思う人もいるかもしれません。「それだけ大量の塩を濾過しているなら、5グラム、10グラムの塩分なんて微々たるものではないか」と。あるいは「腎臓で再吸収するのを抑えて尿と一緒に排出してしまえばいいじゃないか」と。

 ところが、これが「塩」の厄介なところ。先ほどもお話しした通り、われわれが海から陸に上がった3億年前、いやそれどころかつい数百年前まで、塩は生物にとってなかなか摂取できない貴重なものだった。だから体内に入ってきた塩分を極力ため込もうとして、ほとんど再吸収するように学習してしまっているのです。

たくせん塩分を取った時に体内で起こること

 したがってわれわれの体は、ほとんど塩分を摂取しなくとも体内の塩分濃度が一定に保たれるようになっている。例えば生まれたばかりの赤ちゃんはほとんど塩分を摂取していませんし、現代でもヤノマミ族といったアマゾンの先住民など自然に近い生活をしている人々の中には食塩摂取が1日1グラム以下の人たちもいます。

 先ほど食塩摂取の目標量についてお話ししましたが、これはいわば摂取してもよい最大許容量です。最低限取るべき「必要量」はせいぜい1.5グラム程度。現代の日本人が摂取している食塩量がいかに多いかが分かるというものです。

 では、たくさん塩を取ってしまった場合、私たちの体はどうなるか。

 皆さん、塩っ辛いものを食べると喉が渇きませんか。そう、われわれの体は塩分濃度を下げるためにまず水分をたくさん摂取しようとするのです。塩っ辛いものを食べて喉が渇くのは、塩分濃度を一定に保とうという体の防衛本能が働いているわけです。

 体内の塩分濃度は0.9%ですから、5グラム塩分を余分に取れば約560ミリリットルの水分が、10グラム余分に取れば1リットル以上の水分が必要になる。体内の水分が増えるということは血液量が増えることを意味し、心臓や血管に無用の負担をかけることになります。

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