衆院議員「堀井学さん」インタビュー「カツラを着けたら世界が変わりました」

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赤坂の街で感じた「変化」

――カツラを着けてまずどちらに?

堀井 議員会館の、自分の事務所に行きました。ところが、入館しようとすると、衛視さんに止められる。議員バッジもつけているのにですよ。名前を確認して、ようやく中に入りました。偽のバッジをつけて入ろうとする人もいるから、仕方ないですね。委員会室に入る時も同じで、めちゃくちゃ衛視さんが集まってきて、大変なことになりましたね。最近では、午前中はカツラをつけ、午後にはスキンヘッドという、“二頭流”で国会に出る時もあります。おそらく、憲政史上初めてじゃないか、と周りから言われましたね。

――一方で、故・安倍元総理には、高評価だったとか。

堀井 そうなんですよ。カツラができる前に、着用を決意したことをまずお伝えしたら、「いいじゃない、挑戦だね!」と励まして下さって。着用した姿を見ていただいた際には、「いいね! 似合ってるよ!」とお褒めいただきました。

――カツラを着用して変わったことは。

堀井 これまで、街を歩いていると、みんなから避けられてきたのです。すれ違う女性はあからさまに距離を取ったし、赤坂の繁華街を歩いていても、客引きのお兄さんも、お姉さんも、誰一人として声をかけてこなかったんですよ。それが、カツラを着用した途端、「お兄さん、いかがですか」「どうですか、キャバクラ」と、みんなから声をかけられるようになったんです。思えば今まで、ただスキンヘッドというだけで、怖がられ、避けられてきたのだな、と。電車で席に着くと、蜘蛛の子を散らすようにサーっと周りかは人がいなくなる。いわゆる、“ハゲハラスメント”にずっと晒されてきたのです。カツラを着け、赤坂の街を歩いて、そのことに改めて気付かされました。

堂々と生きる

――カツラ着用について、周囲の反応は。

 もちろん、関係者の中には、「けしからん」「イメージが壊れる」と、反対される方もいらっしゃいますし、そういうご意見があることも理解できます。ですがその一方で、政治家である私が、カツラを着用し、またそれを公言することで、カツラに対する偏見や誤解が少しでもなくなればいいな、と思っています。実際、講演会の後に、高齢の女性の方が僕のところにいらして、「私も抗がん剤の影響で髪の毛がなくなり、ウィッグを使用しているが、人に隠していた。でも、堀井さんの話を聞いて、勇気をもらった。これからは堂々と生きていきたい」と仰ってくれて。僕の活動が、いろいろな事情でウィッグやカツラを着用し、肩身の狭い思いをしている人の助けになればな、と。

デイリー新潮編集部

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