警察庁長官狙撃事件、28年目の新証言で明らかになった「失敗捜査の戦犯」とは?

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〈警察庁長官狙撃 新証言〉――。3月20日、毎日新聞が朝刊1面から3面まで使って展開した長官狙撃事件に関する記事は捜査関係者に衝撃を与えた。警視庁は全容解明できぬまま2010年に時効を迎えたにもかかわらずその際、「オウム真理教の組織的テロ」と一方的に認定。だが毎日の報道は全く別の真犯人を浮き彫りにするものだった。

 安倍元総理射殺事件が発生した際、この事件を思い起こした人も多かったのではないか。1995年3月30日、国松孝次・警察庁長官=当時=(85)が自宅マンション敷地内で銃撃された暗殺未遂事件だ。

 毎日新聞が「狙撃犯」の可能性を指摘するのは、2件の現金輸送車襲撃事件により無期懲役刑で服役中の中村泰(ひろし)(92)。実は中村受刑者と長官事件を初めて結び付けて真犯人の可能性を報じたのは本誌(「週刊新潮」)である(「『国松長官・狙撃犯』の恐るべき正体」2003年10月23日号)。

大きな意味を持つ証言

 今回の記事で新味があるのは、〈実行犯逃走 手助け〉の部分だ。元自衛官の男性(49)が同紙に事件当日、中村受刑者の送迎役を果たした旨、証言したという。

 この証言には大きな意味がある。公安部主導の捜査本部がオウム犯行説に凝り固まる中、中村受刑者で立件を目指す「特命捜査班」(刑事部捜査1課の幹部が班長として率いる刑事部・公安部の混成チーム)に課された条件が「凶器の拳銃の発見」か「犯行を支援した共犯者の特定」だったからだ。拳銃は海中投棄されたと見られ、捜索は不可能。一方、特命捜査班は中村の交友関係の一人としてこの元自衛官を割り出し、事情聴取を行っていた。しかし彼は関与を否認し、捜査は幕切れとなった。その元自衛官が、「中村の死期が迫っているので、真実を明かしたい」と重い口を開いたという。

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