「“自分は老けている”と思うと死亡リスクが増大」「嫌な医師とは関わらない」 抗加齢医学のパイオニアが説く「若返り術」

ドクター新潮 ライフ

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40歳以上の約半数が歯周病

 一つは「歯みがき」です。40歳以上で歯周病を抱えている人は約半数ともいわれていますが、歯周病は単に「歯の周りの病気」にとどまらず、歯周病関連菌が血管内に入って動脈硬化を悪化させ、さらには血管に炎症を起こすことでアルツハイマー型認知症のリスクを上げることも分かっています。半年に1回は歯医者さんに行って歯垢(プラーク)を除去してもらうのがいいでしょう。

 もう一つは「補聴器」です。視力が衰えればメガネを掛けるのは当然なのに対して、聴力が落ちたら補聴器をつけるという生活習慣は浸透していないように感じられます。「格好悪い」という印象があるのかもしれませんが、メガネを掛けるように、難聴なのであれば補聴器をつけるのも当然の世の中になるべきだと思います。なぜなら、難聴は認知症リスクを増大させるからです。

 難聴になるとコミュニケーションが難しくなることで社会的に孤立してしまうことや、言葉を聞き取りにくいというストレスが脳に悪影響をもたらすことなどがその原因と考えられていますが、いずれにしても、世界五大医学誌の一つ「ランセット」には、中年期以降の難聴をなくせば認知症になる人を今より9%減らせるとの報告が掲載されているほどです。

 また、普通の声の大きさによる会話で聞き取りにくかったり、聞き間違いをする中等度の難聴を抱えている50歳以上の人は、認知症発症リスクが1.6倍になるとの研究結果もあります。

 難聴だと感じている人は65~74歳で約15%、75歳以上では3割超になるというアンケート結果があります。聞き取りにくさを感じている人には、ぜひ耳鼻咽喉科を受診していただき、そして補聴器の使用を躊躇(ためら)わないでほしいと思います。

二つの若返り術

 続いては「脳/メンタル」面での若返り術です。脳トレやペットを飼うなど、これもさまざまな方法がありますが、やはりとりわけお勧めの二つの若返り術を紹介します。

 一つは「腸内環境を整える」。近年、腸内環境の改善がいかに健康長寿に寄与するか、研究がめざましく進んでいます。そして、「脳腸相関」といわれるように、腸内の環境は脳にも影響を与えることが明らかになっています。つまり、脳を若く保つ意味でも、腸内環境を整えておくことがとても重要なのです。

 なかでも、最近注目を集めているのが、腸内環境を整える上で大切な善玉菌のひとつである「ビフィズス菌MCC1274」です。私も監修として携わった研究では、80人を対象に、半数にはビフィズス菌MCC1274が入った製剤を、残りの半数には偽薬を飲んでもらったところ、前者において記憶力などの改善が見られています。すでに、ビフィズス菌MCC1274が入ったヨーグルトやサプリメントが市販されていますので、腸内環境に不安を抱える人は試してみてはいかがでしょうか。

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