SG投資、ワクチン、妊娠中絶…アメリカは州レベルでも分断が激化で大混乱へ

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コロナ規制を受け“移住”

 他の医療行為も法律で禁止しようとする試みがアイダホ州で始まっている。

 新型コロナワクチンの接種率が全米で6番目に低いアイダホ州で2月15日、新型コロナのメッセンジャーRNAワクチンを投与する行為を軽犯罪とみなす法案が議会に提出された。成立すれば、医療従事者がFDAが認可したワクチンを投与しただけで刑事罰が科される恐れが生じる。

 アイダホ州は保守派の牙城として有名だが、意外にも民主党が主導する隣のオレゴン州からの移住が相次いでいる。厳しいコロナ規制への反発が主な理由だが、注目すべき政治運動も始まっている。その運動とは「州境を移動させ、保守派が強いオレゴン州の東部地域をアイダホ州に組み入れる」というものだ。アイダホ州議会はオレゴン州との州境を変更する提案を正式に審議することを決定した(3月8日付NHK国際報道2023)。

 これまで河川のルートの変化などに伴う州境の変更は行われてきたが、政治的動機に基づく前例は存在しない。オレゴン州議会や連邦議会の承認も必要なため、州境の変更は容易なことではないが、州ごとの規制の違いが顕著になりつつある現状をかんがみれば、州境近辺に暮らす住民が今後、同種の運動を起こす可能性は排除できないだろう。

 専門家は「このような動きが広がれば、米国全体が大混乱に陥る」と警戒しているが、米国の分断に歯止めをかけるのはもはや手遅れなのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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