有事で「日本人の6割が餓死」という衝撃の研究 成長ホルモン牛肉、農薬汚染食料に頼らざるを得ない食料事情

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

戦争と中国の爆買い

 例えばウクライナ戦争。

 世界有数の穀倉地帯であり、全世界の小麦輸出の約3割を占めるロシアとウクライナが戦火を交える事態となり、各国はすでに小麦の“抱え込み”を始めています。世界2位の小麦生産量を誇るインドが輸出禁止に踏み切り、それ以外の国も小麦を自国民の食料を確保するために抱え込む動きを見せています。

 例えば中国の爆買い。

 世界第2位の経済大国である中国は、まさにカネの力で世界中から穀物などを買いあさり、日本は買い負けています。日本国内で生産された高級和牛が、高く買ってくれる中国輸出用に回されるという笑えない状況まで生じているほどです。

 そして、異常気象はもはや「通常気象」となりつつあり、世界の食料生産事情はそれこそいつ異常事態を迎えても不思議ではありません。

 また、原油価格の高騰がバイオ燃料の需要を高めた結果、その原料であるトウモロコシや大豆の需要も増えて穀物価格は上昇傾向にあります。

真の食料自給率は約10%?

 日本の食料安全保障環境は、これほどまでに不安定であるのが現実なのです。しかも、実は「38%」ですら、ある意味では“まやかし”といえます。なぜなら、日本は種やヒナ、化学肥料の原料なども輸入に頼っているものがあり、これらが輸入できなくなれば国内生産量はもっと減るからです。ヒナが輸入できなくなれば、最終的に鶏肉も卵も国内生産できなくなります。

 そして、種やヒナなどの輸入実態を加味して考えた「真の食料自給率」は、私の研究室の試算では10%程度に過ぎないのです。

 農水省もただ座視しているわけではありません。もし危機的状況を迎えた時でも国民が生きていけるようにシミュレーションしていて、国内生産の食料のみで日本人が十分にカロリー摂取できるメニューを考えているのです。しかし……。

 朝食のおかずは粉吹き芋とぬか漬け。

 昼食は焼き芋と蒸(ふ)かし芋と果物。

 夕食のおかずは焼き芋と焼き魚。

 要は三食ともに芋中心であればしのげるというわけです。

次ページ:戦うことすらできない可能性

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[2/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。