有事で「日本人の6割が餓死」という衝撃の研究 成長ホルモン牛肉、農薬汚染食料に頼らざるを得ない食料事情

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戦うことすらできない可能性

 この芋メニューを見て、「日本の食料安全保障は万全だ」と思う人がどれだけいるでしょうか。これが先進国ニッポンの偽らざる現状なのです。

 こうした食料事情を抱えながら、軍事・外交的な安全保障の重要性のみが説かれています。しかし、有事になり中国などが日本への経済制裁に踏み切る、あるいはシーレーンが閉ざされ、輸入がままならなくなった事態を想定してみましょう。「38%」もしくは「10%」の国が果たしてどれだけ持ちこたえられるでしょうか。

 腹が減っては戦はできぬ。無論、戦争はでき得る限り避けるべきものですが、仮に武器だけそろえたところで兵站(へいたん)がしっかりしていなければ、戦うことすらできなくなる可能性があるわけです。国の安全保障を語るのに、兵站を考えないのは非常に愚かな話です。先の戦争で、実は戦闘死よりも多くの兵士が餓死していたという事実を忘れてしまったのでしょうか。

生産額ベースで考える危うさ

 しかし、こうした食料安全保障の脆弱さから目を背けたがる人たちがいるようです。

「38%という数字を強調するのはおかしい。日本の生産額ベースの食料自給率は63%あり、事実、多くの国では生産額ベースの食料自給率を重視しているのだから」

 確かに「38%」はカロリーベースの食料自給率の数字です。ごく簡単に言えば、国民が摂取しているカロリーのうち、どれほどの割合を国産で賄(まかな)えているかというものです。

 他方、生産額ベースの食料自給率は、カネで計算するため、例えば高品質な日本のサクランボや、高級な和牛の経済的価値が数字を押し上げ「63%」になるわけです。

 生産額ベースの食料自給率が高いのは悪いことではありません。高級、つまり高品質の食料を国内生産できているという事実は、日本の農業や漁業が食品に高い付加価値をつけることに成功している、端的に言えば高級食品を作り出すためにいかに頑張っているかを表しているからです。

 しかし、食料安全保障はカネの話ではありません。いざ国民が飢えるかもしれない事態に備え、どれだけ自前で国民の腹を満たせるかという話なのです。

 いくら高級な和牛を育てても、いくら甘くておいしいサクランボを作っても、それで国民をお腹いっぱいにできなければ食料安全保障上は意味がない。付加価値の高い高級和牛がカネを生み出してくれても、国民はカネを齧(かじ)って生きていくことはできないのです。サクランボばかり食べて、国民のお腹がいっぱいになることもありません。

 それにそもそも、種が輸入できない状況になったら、付加価値の高い果物を作ることすらできない。ゆえに生産額ベースで食料安全保障を語ることはできないのです。

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