アンチエイジングの権威がオススメする食材は? 片足立ちが10秒できない人は危険? 「残念な老化」を防ぐ方法とは

ドクター新潮 ライフ

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青魚の血液サラサラ効果

 一つは「青魚を食べる」です。一見、常識中の常識に映るかもしれませんが、実は「現代ならでは」の若返り術といえます。

 まず今では、イワシやサバなどの青魚に含まれる不飽和脂肪酸「EPA(エイコサペンタエン酸)」には、血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化の予防に役立つことが広く知られています。ところが、私が医師になった20年ほど前は、私を含めた一部の循環器系の専門家が訴えていた説に過ぎませんでした。

 しかしその後、EPAの血液サラサラ効果は疫学研究で明らかになり、07年には世界五大医学誌の一つである「ランセット」にも、その効果が掲載されるに至りました。その意味で、青魚の血液サラサラ効果は、意外と新しい知見といえるのです。

 また、太古の昔においては、おそらくEPAはむしろ寿命を損なう要素だったと思われます。なぜなら、衣服も現代のように充実しておらず、そしていつ外敵に襲われるか分からず、さらには医療が発達していない時代は、けがをして流血するリスクが高い上に、止血の技術も確立されていなかったので死に至る危険も大きかった。したがって、いざ出血した場合、できるだけ早く血が止まるほうが望ましい。そのためには、サラサラよりもドロドロの血液が適している。つまり昔は、血がドロドロしていて固まりやすい人のほうが長生きしていたと考えられるのです。

「長寿遺伝子」を活性化させる

 翻(ひるがえ)って現代は、止血の心配をする必要はなく、逆に寿命の延伸に伴い加齢と飽食によって血管が傷んでいく時代になっています。つまり、血液をドロドロにしてしまうことで血管を詰まらせ、早死にするリスクを増大させることになった。ゆえにサラサラな血液が求められる。この点においても、青魚食は「現代的な若返り術」といえるわけです。

「人は血管とともに老いる」

 医学界の名言に倣(なら)っても、青魚はまさに最高ランクの若返り食と呼べるでしょう。

 他にも、EPAには紫外線による肌老化を防止する効果があるのと同時に、青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)には脳機能を高める効果もあり、東北大学の研究では、魚の摂取量が多いほど認知症リスクが下がることが明らかになっています。なお、青魚が苦手な人は、サプリメントでEPAやDHAを補うのもいいでしょう。

 二つ目の若返り食事術は「満腹を避ける」。「腹八分目に医者いらず」と言いますが、最新の医学もこの先人の教えの有効性を裏付けています。

 近年、サーチュイン遺伝子、別名「長寿遺伝子」の老化を遅らせる役割に注目が集まっています。サーチュイン遺伝子を活性化させることで細胞の老化抑制など、長寿につながることが明らかになってきているのですが、サーチュイン遺伝子は空腹状態で活性化することが分かっています。したがって、満腹を避けることが若返りに効果的なわけです。

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