「立憲はこのままでは沈んでしまう」 いま野田元総理“代表待望論”が出る理由

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 総理も酒が好きだから言うけど――。2月8日、衆院予算委の集中審議で岸田文雄総理に“ため口”で語りかけたのは、立憲民主党の野田佳彦元総理(65)だ。

 こんな話しぶりが許されるのは、1993年の初当選同期、同い年で酒豪同士だからこそ。野田氏はアベノミクスを「大衆酒場でいつも頼むコップ酒」と評し、「なみなみと(コップに)入れようとしてきたと思うが、下の受け皿には届かなかった」と指摘した。富裕層が潤えば低所得者層に富が浸透するという「トリクルダウン」は起きなかったと断じたのだ。アベノミクス路線を転換させるであろう総理はこの「コップ酒」論にうなずきながら耳を傾けた。

 政治部記者は言う。

「総理経験者の予算委での質問は珍しいが、野田さんは第2次安倍政権と菅政権でも質問に立った。話力には定評があり、堅い話から趣味のプロレスネタまで引き出しも豊富。昨年の安倍追悼演説が評価されたほか、父が自衛官で“自衛隊愛”も隠さず、保守層の支持もある。安定感は独特です」

「このままでは党が沈んでしまう」

 とはいえ野田氏は、安倍氏が「悪夢」と呼んだ民主党政権最後の総理だ。自民党が野党だった時の安倍氏との党首討論で衆院の早期解散を約束するも、総選挙で惨敗。政権を手放した戦犯との評は今もくすぶる。

 ただ政権陥落から10年過ぎてなお立憲の支持率は低迷。泉健太代表は頼りなく何より重みがない。最近は、共闘方針を掲げる日本維新の会の馬場伸幸代表に対し「『重馬場(おもばば)』であってほしい」とイジって維新側の怒りを買った。

「駄じゃれが売りだがセンスがない」(立憲議員)

 そんな事情もあって党内には「野田氏再登板」を期待する声が絶えない。

「野田さんを押し出せば、自民党のわが党への向き合い方も変わるはずだ。泉代表の任期は来年9月末で、それまでに必ずや総選挙がある。このままでは党が沈んでしまう」(党関係者)

 立憲は昨年の参院選で議席を減らし、泉氏を除いた首脳級の顔ぶれを刷新。岡田克也氏や安住淳氏ら野田政権の幹部が要職に就いた。「先祖返り」批判も出たが、国会では自民党を翻弄する場面も多い。そもそも泉氏の続投は、一昨年の衆院選敗北時に代表の座を降りた枝野幸男氏に続く「引責定例化」回避のためだ。泉氏の党内支持基盤は弱い。

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