ミサイル発射で北朝鮮の脅威を宣伝している場合ではない…彼らの“本当の弱さ”に目を向けるべきだ

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「北朝鮮脅威論」の真実

 北朝鮮の真意について、故金日成主席は30年前に、日本財団の笹川陽平会長に「米韓合同演習だけは困る。やめてほしい」と述べた。なぜか、「米韓合同軍事演習をすると、北朝鮮も同じ規模の演習をする。米韓が演習を口実に攻めてくると警戒するからだ」と本音を語った。

 さらに「演習が終わると、軍用石油はほぼなくなり、兵器も消耗する。その回復は大変だ」と、北朝鮮軍の真実を明らかにした。北朝鮮軍の軍用石油は、今ではその当時の4分の1程度しかない。年間50万トン程度。これでは、戦争できない。日本の自衛隊は戦争しないが、年間150万トンの石油を使っている。米韓軍は、さらに多量の石油を消費している。北朝鮮は、とても太刀打ちできない。

 これが、「北朝鮮脅威論」の真実だが、だから何もしなくていいと言っているのではない。北朝鮮に誤った判断をさせないために、日米韓三国と国際社会は、常に警告を発するべきだ。「核開発とミサイル発射は、国際法違反」であり、軍事衝突は北朝鮮崩壊を招くと。

 米韓軍の「北朝鮮軍を疲弊させる合同軍事演習」が、2月末から始まる。

重村智計(しげむら・としみつ)
1945年生まれ。早稲田大学卒、毎日新聞社にてソウル特派員、ワシントン特派員、 論説委員を歴任。拓殖大学、早稲田大学教授を経て、現在、東京通信大学教授。早 稲田大学名誉教授。朝鮮報道と研究の第一人者で、日本の朝鮮半島報道を変えた。 著書に『外交敗北』(講談社)、『日朝韓、「虚言と幻想の帝国の解放」』(秀和 システム)、『絶望の文在寅、孤独の金正恩』(ワニブックPLUS)など多数。

デイリー新潮編集部

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