フィリピン国民の関心は「ルフィ」ではなく「美人実業家」射殺事件 背景にエリート軍人との秘密の関係

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実行犯の兵士が准将の関与を証言

 地元メディアの報道によると、決め手となったのは、射殺の実行犯として拘束中のデルフィン・シアルサ2等兵とアドリアン・チャチェロ伍長が「黒幕はデュランテ准将だ」と証言したことだという。事件当日、バイクを運転していたのがチャチェロ伍長、射殺を実行したのがシアルサ2等兵であることが軍の捜査で明らかになっている。

 このほか2人の逃走を手助けしたり、周辺の監視をしたなどの容疑で、陸軍兵士たちが容疑者となった。デュランテ准将が部下の兵士を使って犯行に及んだというのがほぼ確実だ。

 陸軍司令官のロミオ・ブラウナー中将はメディアに「フィリピン陸軍は軍人によるいかなる犯罪行為も許すことはない。よって殺害への関与で名前が上がったデュランテ准将を旅団司令官から解任し、公平で徹底的な捜査に協力している」また「陸軍は将校であろうと兵士であろうと不正行為や犯罪を容認しない。過ちを起こした場合、将校も兵士も同じ扱いを受ける」として、軍として准将を“特別扱い”することはあり得ないと強調した。

 ただし、会見に立った特捜チームの報道官ユーディアサン・グルティアノ大佐は、殺害の背景に「軍の機密情報が関係している」としつつ、その情報の詳細については全く明らかにしていない。

 だが、イヴォネットさんが軍の「機密情報」を直接入手したとは考えにくく、もし機密情報が動機とすれば、それはデュランテ准将から「寝物語」などで漏らされたものである可能性が高いとみられている。であれば准将に情状酌量の余地はまったくない。

 これ以上の真相追及は、デュランテ准将以下、犯行に関与した兵士の良心にかかっているといえる。

大塚智彦(フリーランスライター)

デイリー新潮編集部

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