巧妙化する「SNSいじめ」子どもを被害者にも加害者にもしない方法 証拠の残し方、フィルタリングの使い方は?

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 中学生の9割がスマホを所有する現代、LINEなどソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を舞台にした新手の“いじめ”が深刻化している。親が知らないその実態、わが子が巻き込まれた際の発見法、対処法とは? ネットいじめに詳しい安川雅史氏が指南する。

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〈学校でわが子がいじめに遭っていないか?は、親の一大関心事だが、近年では、学校でのいじめに加え、目に見えづらい「ネットいじめ」も増加の一途をたどっている。生まれたときからインターネットが当たり前のように身近にあった“デジタルネイティブ”世代のいじめは、LINEやSNSなどを舞台としてより複雑化し、秘匿化されている。

 ICT(情報通信技術)カウンセラーで、ネットいじめに苦しむ全国の親子から相談を受けている安川雅史氏は、スマホの普及、高機能化がそれに拍車をかけていると話す。〉

スマホの写真加工アプリがなぜ問題?

 これは私が実際に相談を受けた、ある私立の中学1年生の女の子の例です。

 それまで楽しく会話していたLINEグループで、相談者の子が発言してもみんなそれが見えないかのように無視して会話を進めるようになったそうなんです。本人には身に覚えがないのですが、後で分かったところによると、その子に彼氏ができて、それを快く思わないグループの中の一人が、「あの子最近調子に乗っていてムカつく」と言い出したことで、全員による無視が始まった。

 初めのうちはLINEだけでしたが、やがて一緒に行動していたグループからも外されるようになり、お昼ご飯も一人黒板を見ながら食べる日々。そのことで悩んだ彼女は、夜もなかなか眠れず、学校でもボーッとしたり居眠りをしたりすることが増えていきます。

 そこで問題になるのがスマホの写真加工アプリです。グループのある一人が、その子の寝顔をスマホのカメラ機能を使って撮影し、いろいろなアプリを使って加工してクラスメートに送っていたのです。スマホで写真撮影はもはや当たり前ですが、スマホの高機能化がいじめに拍車をかけています。撮影した顔をもとに化粧をさせたり、顔を膨らませたり、ひげをつけて男性っぽくさせたり、動物の体とくっつけたりする合成が指先ひとつで簡単にできてしまいます。自分の知らないところで、盗撮され、勝手に加工され、笑いものにされていたと知った彼女が深く傷ついたことは言うまでもありません。

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