巧妙化する「SNSいじめ」子どもを被害者にも加害者にもしない方法 証拠の残し方、フィルタリングの使い方は?

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

転校してもいじめが継続

〈親世代もその恩恵にあずかり、もはや手放せない物となったスマホの機能がいじめに使用されている。しかも、その被害は、「学校内」だけにとどまらない。〉

 顔写真については仲間うちの閲覧で完結していたのですが、体育の時間に撮影された動画は、動画SNSのTikTokを通じて世界中に拡散されてしまうことになりました。運動が苦手な彼女が授業でダンスを踊っている姿を動画で撮影し、勝手にTikTokに投稿していたのです。しかも、そのアカウントは、まるで本人が「私のダンスを見てください」と自慢げにアップしたかのように見えるもの。この動画には「何を勘違いしているの?鏡見たら?」「よくこんなダンスで投稿できたな?消えろ!」などと辛辣(しんらつ)なコメントが並び、いじめの加害グループからそれを見せられた彼女は、クラスメートだけでなく、見知らぬ第三者からも敵意を向けられることになったのです。

 SNSや動画共有サイトを使ったいじめは、学校内にとどまらず、たとえ転校してもネット上でいやがらせが続いたり、いじめられていた情報がネットを介して、現在の学校のクラスメートに伝わったりする事例も少なくありません。

親に相談できない理由

〈このいじめ被害に遭った中学1年生の女子生徒は、TikTokの動画を見せられた日に過呼吸になり、それ以来不登校に。幸い未遂に終ったが最終的には自殺を図るところまで追い詰められてしまったという。〉

 いじめの被害者の多くがそうであるように、この女子生徒も、いじめられていることをなかなか親に言い出せず、追い詰められてしまいました。その理由のひとつに、この女子生徒が「自ら希望して」中学受験をし、親の反対を押し切って私立中学に入学したこともあったようです。学校に居場所がないと言い出せず、中高一貫校であるその中学でのスタートにつまずいてしまったら、この先6年間が暗黒時代になってしまう。そんな思いも手伝って、ネット上とリアル両方でのいじめがエスカレートしていっても、親に相談できず、一人苦しむことになりました。

次ページ:真っ先にすべきは「証拠の保存」

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[2/7ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。