2022年ドラマ総括 辛口コラムニストが今年は敢えてワーストドラマを選ばない理由(後編)

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 辛口コラムニスト・林操氏による今年のドラマ総括の後編をお届けする。ベスト3の同率1位は、「鎌倉殿の13人」、「カムカムエヴリバディ」、「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2のNHK3作。さて、2位と3位は?

 ***

アナ:では、2022年の連ドラ、ベスト3の2位と3位は何でしょう?

林:ドラムロールは省略して、第2位は……

●「エルピス──希望、あるいは災い──」(フジテレビ系・関西テレビ制作/月曜22時/10月期)

……です!

アナ:……2位は1本だけでいいんですか?

林:2本も3本も、挙げられればよかったんだけどねぇ。

アナ:「エルピス」を林さんが高く評価されることは予想がついていました。2021年のベスト1に選んだ「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジ系・カンテレ制作)と共通する点の多い作品ですからね。TBSから関西テレビに移った佐野亜裕美さんのプロデュース、力のある脚本家による原作なしのオリジナル脚本、主演から助演まで芸達者が目立つ豪華な配役……。

林:バレバレだよねぇ。だからこそホントは別の作品に逃げたかったんだけど、逃げる先がなかった。それに、やっぱり去年の「大豆田」と同じく、スカだらけのカンテレ制作枠のドラマに稀に出る突然変異の良作、傑作は、ちゃんと褒め讃えておかないないとさ。

アナ:ここまで予想通りです。

林:エルピス(Elpis)っていうのはギリシャ神話でパンドラの函を開けた後、底に残ったブツのことで、たいていは「希望」だと解釈されてます。このドラマ、まさにカンテレ枠においても、フジ系のドラマとしても、あるいは民放のドラマとしても、今年、最後に残った希望みたいな存在なんだよ。

アナ:先ほどの「いいホン・いいヒト・いいシゴト」という条件も、かなり満たしていますね。権力と報道という“今”なテーマで、脚本が渡辺あやさん、出演が長澤まさみさん、眞栄田郷敦さん、鈴木亮平さん、演出が大根仁さん、音楽が大友良英さんという具合ですから。

次ページ:長澤まさみよりも

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。