日本人は皇族の名に弱い…南アフリカのレアメタル投資詐欺で被害者が崇めた宮家とは

  • ブックマーク

Advertisement

レアメタル鉱山

 1950年代には、ブラジル・サンパウロの日本人コミュニティに朝香宮鳩彦の名前を騙った詐欺師が現れた。

「彼のことを信じた日系人100人から寄付金を集めましたが、詐欺であることが発覚して1954年に現地の警察に逮捕されました」

 皇族を騙る詐欺の中で、最も有名なのは有栖川識仁と名乗った男である。有栖川宮は江戸時代に創設された宮家だが、10代目当主の威仁親王が1913年に逝去したため断絶した。その後、有栖川宮の祭祀は、高松宮家が継承した。

「有栖川識仁は高松宮宣仁親王の落胤と語っていました。1990年には、『有栖川宮記念事業団』という政治団体を設立しました」

 右翼団体の名誉総裁に祭り上げたこともあった。

「2003年4月、青山にあるカナダ大使館の地下にある『シティ・クラブ・オブ東京』で400人を招いて、坂本という女性と偽の結婚式を開催し、祝儀を騙し取ったのです。この結婚式に出席したのは俳優の石田純一やお笑いタレントのエスパー伊東、ミュージシャンのダイアモンド☆ユカイなどで、多くの人が騙されたのです。同年10月、警視庁公安部が詐欺の容疑で2人を逮捕しました。2006年9月、2人に懲役2年2カ月の実刑判決が下っています」

 実は、メディアには一切報じられていないが、アフリカでも皇族を利用した詐欺があったという。

「私は警視庁から外務省へ出向し、アフリカ大陸のある日本大使館に勤務したことがあります。その前の話ですが、1997年、南アフリカとボツワナとの国境にレアメタルの鉱山が発見されたという話が日本に持ち込まれました。詐欺グループがパンフレットを作成。人工衛星による調査と現地調査によって、かなりの埋蔵量があることが確認されたと紹介され、ネットにも広告を出したのです」

 このレアメタル鉱山発掘の主催者は、皇族を離脱した人物という触れ込みだった。

「有栖川宮を名乗る男でした。当時、彼は日本で活動していたので、詐欺グループが利用したのでしょう」

 実際、南アには、レアメタルのプラチナやリチウムの鉱山があり、新たにレアメタルの鉱山が発見されたと聞いてもおかしくはない。そこに有栖川宮も登場したため、信じた日本人が多かったという。

次ページ:ICPOに依頼

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。