妻の連れ子が留学のために風俗でアルバイト…黙認したアラフォー夫にある晩起きた、“信じ難い事件”とは

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 現在では珍しいものではなくなった「再婚」。厚生労働省の人口動態調査によると、1952年には全体の18.8%だった再婚が、2020年には26.7%まで増えている(双方再婚、どちらか再婚含む)現代では4組に1組が再婚夫婦ということになる。

 再婚事情をもうすこし見て見ると、いちばん多いのは夫妻ともに再婚が9.8%。夫だけが再婚が9.6%で、妻だけ再婚は7.0%だ。

 再婚によって親子関係や縁戚関係は複雑さを増していく場合が多い。それによってかつては考えられなかったカップルも増えてくるようだ。男女問題を30年近く取材し、『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏が今回取材した男性も、再婚同士の奇妙な家族関係を明かした。

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 松倉繁雄さん(39歳・仮名=以下同)は、35歳のとき、飲食店のマネージャーを務める6歳年上の有希恵さんと結婚した。繁雄さんも有希恵さんも再婚だった。

「僕は学生時代からつきあっていた女性と26歳のときに結婚しました。ところが彼女が僕たちの先輩と不倫、先輩にも家庭があったために揉めに揉めて……。結局、離婚したんですが、大学入学以来、ずっとつきあっていて長年信じていた彼女の裏切りに、僕はショックで立ち直れなかった。しばらくの間、週末は友人たちが代わる代わる僕の家に来て見張っていてくれたくらい。実際、何度も死のうと思いました。でも友人のおかげで死なずにすんだ」

 しばらくは女性不信で、恋愛などできるはずもないと思っていた。つきあいたいとも思わなかったが、離婚から3年たち、32歳を迎えたころに有希恵さんと知り合った。

「僕の勤める食品関係の会社と、彼女の勤務先が新たに取引をすることになって。彼女は現場の声を届けるために会議に出席していたんです。出席者の顔を見ながらハキハキと話し、ときに笑いも入れ込む話術に感服しました。 僕はああいう場で話すのが苦手で。何度目かにあったとき、話術を教えてほしいと頼んだんですよ。彼女は『それってデートしてくださいってことですか?』と笑いながら言いました。あ、もちろんですと思わず言ってしまうようなパッと華やかな笑顔でした」

 それを機会に、ふたりはときどき会うようになった。周囲に隠していたわけでもないし、わざわざ知らせていたわけでもなく、ごく自然にデートを重ねた。その過程で、繁雄さんは有希恵さんの過去を少しずつ知ることとなった。

 その時点で有希恵さんは38歳。繁雄さんと同様、バツイチだった。血縁のない娘と一緒に住んでるのと彼女はカラカラ笑ったという。

「27歳で結婚した相手がすでにバツイチで、6歳の娘を育てるシングルファザーだったそうです。彼女は娘とは養子縁組はしないまま結婚。ところが4年後、夫とうまくいかなくなって離婚したものの、夫が家を出て行き、マンションには娘とふたり残されたんですって。 自分の子でもないんだけど、彼女はその娘と相性がよかったみたいで、ふたりで今も気楽に暮らしていると。こういう女性もいるんだと驚くと同時に、この人ならそういうこともありうるだろうなと感じました」

 それによって彼女の魅力が増したというから、縁というのはわからないものだ。繁雄さんが有希恵さんと会うようになったとき、娘はすでに17歳になっていた。何度かデートを重ねるうち、彼は女性不信から脱している自分に気づいた。 有希恵さんと一緒にいると、よく笑っているのだ。どちらかといえば無口なほうだと自分で思っていたが、彼女といると自分を知ってもらいたいからよくしゃべる。彼女のことを知りたいからいろいろ尋ねる。

「シゲちゃんはおしゃべりだよねと有希恵に言われて、初めてそうか、僕はけっこうしゃべれるんだとわかりました。前妻に裏切られた衝撃で、本来の自分を見失っていたのだと思います」

 ふたりの距離が徐々に縮まっていく実感があった。そしてある日、心も体もひとつになった。その後、娘の千穂さんが高校を卒業するときに初めて紹介してもらった。

「千穂は、『あわてんぼうの母ですが、明るくていい人だから、よろしくお願いしますね』と。その一言で、彼女は有希恵をとっても好きなんだということがわかりました。ふたりのやりとりを聞いていると、母と娘というより完全に友だち。ときには千穂のほうが大人びた発言をしていました」

繁雄さんの過去

 ふたりの間には割り込めない何かがある。繁雄さんはそうも思った。だから千穂さんが成人になり、きちんと了解が得られるまではプロポーズしないほうがいいのかもしれないと迷った。そして、そんな迷いを払拭してくれたのも千穂さんだった。

「千穂は大学に進学、家から通っていました。そして成人式を終えたあと、有希恵と僕に『ありがとう』と言ったあと、『ふたりもそろそろ落ち着いてもいいんじゃない? 私は賛成だよ』って。有希恵は照れたように笑って『まだ、そんな話は出てないから』と首を振っていましたが、今がチャンスだと思ったので『じゃ、今言う。有希恵さん、結婚してください』と言いました。千穂はキャーキャー喜び、有希恵に抱きついて大騒ぎでした」

 35歳にして20歳の娘との同居が始まったが、千穂さんは学生生活とアルバイトを満喫していたから、すれ違いの日々だった。それでもときには家族3人で一緒に料理をしたり、朝まで話したりすることもあった。

「実は僕の両親は離婚していて、僕は父と継母に育てられたんです。父と継母の間にはふたり子どもができたので、僕はなんとなく疎まれているのを感じながら大きくなった。あからさまにいじめられたわけではないけど……。大学からは東京に出てきてひとり暮らしをしていました。父の言い分では、僕の母が浮気をして家を出て行ったと。だからこそ、僕は前の結婚で妻が浮気をしたときに、立ち直れないくらいのショックを受けた。同時に、妻に浮気されても父がすぐ再婚したのを不思議に思っていたんです。僕の母に対しては、それほど愛情をもっていなかったのかなとか、プライドを傷つけられた気持ちにならなかったんだろうかとか」

 再婚してから有希恵さんをともなって、一度だけ父に会いに帰ったことがある。有希恵さんが席をはずしたとき、父は「再婚するなら若い女にすればよかったのに。おまえも変わったヤツだな」と笑った。彼はそれに激怒、戻ってきた有希恵さんを促して、そのまま実家を辞した。滞在時間わずか1時間だった。「どうしたの」と言う有希恵さんに、父の反応は伝えていない。父親の下卑た笑いが脳裏に残り、それからまったく連絡をとっていなかった。

「父とは気持ちの上で絶縁したつもりでした。僕の家族は有希恵と千穂だけ。誰も血がつながっていないし、僕と有希恵の間に子どもが産まれることもないかもしれないけど、こういう家族がいてもいい。血縁に頼らず仲良くやっていこうといつも話していたんです」

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