日本国際警察協会、前会長の“着服”疑惑を理事が告発 震災関連の義捐金はどこに消えた?

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 警察とは、上意下達を絵に描いた組織である。階級が物を言う“慣習”は、退職後も至るところでついて回るとされるのだが、そんな独特の世界にあって、元警察庁長官という「雲上人」が公然と反駁(はんばく)されたのだからただごとではない。

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“事件”の舞台は「日本国際警察協会」なる親睦を目的とした任意団体である。国際的な警察交流組織「IPA」の日本支部にあたり、全国の現職警察官やOBら会員数はおよそ450人。会長には金高雅仁・元警察庁長官(68)が就いており、今春に結成60年を迎えた際には、当時の中村格(いたる)長官(59)も祝辞を寄せていた。さる会員によれば、

「2019年夏に金高さんが会長に選出されるまでは、十余年もの間、神奈川県警OBである中村公司さん(79)が会長の座にありました。03年の退職時、県警本部の地域部長(階級は警視長)だった中村さんはノンキャリながら“協会のドン”ともいえる存在で、現在は名誉会長。今回の騒動は、その中村さんの振る舞いに端を発しているのです」

不透明な入出金が

 そもそもの発端は昨年1月、会計担当の理事が“ある通帳”を引き継いだことだった。事情を知る関係者が明かす。

「協会が赤字体質だったこともあり、彼は収支を見直す作業を進めていたのですが、その最中、名誉会長の“右腕”で県警時代の部下でもあった事務局長名義の銀行預金口座の存在を知りました。この口座は07年に開設されながら、それまで会計報告が一切なされておらず、不透明な入出金が繰り返されていたのです」

 例えば、11年3月の東日本大震災以降、国内外から集めた震災関連の義捐金約280万円のうち、実際に被災3県の警察へ送金が確認できたのは約80万円。残りはおもに被災地に寄付するレトルト食品や飲料などの購入や、現地への旅費などに充てられたというのだが、そこには領収書や振込依頼書の控えの類が一切、添付されていなかった。

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