松本伊代 「落とし穴」企画で重症 長きにわたってケガ人が出なかった意外な理由

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落とし穴企画で半世紀

 バランスを崩して転倒した際にケガをするパターンが多いが、確かに落とし穴の事故例はいない。前出のプロデューサーは言う。

「バラエティ番組の落とし穴企画は歴史が長いんです。1970年代の『元祖どっきりカメラ』(日テレ)の頃にはありましたからね。雪道に穴を掘って、その中に落とすという企画でした。雪なので人力で掘れるし、ネタバレしにくいので、手軽に仕掛けられたのだと思います」

 半世紀もの歴史があるのか。

「その後、落とし穴企画は、『ロンドンハーツ』(テレ朝)でお笑いタレントの出川哲朗のプロポーズドッキリなどで登場しました。『ロンハー』の落とし穴企画は次第に大掛かりになり、セットで一軒家を作り、芸人を2階から1階へ落下させるなど、人気企画になりました。そして『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジ)の“全落”や“水落”がきっかけとなり、出演者を“落とす企画”がバラエティ番組でブームになりました」

 いまや落とし穴企画は、バラエティ番組だけではなくなった。

「クイズ番組の不正解で落としたり、罰ゲームで落とすこともあります。2017年にはテレビ東京が年越し番組で、『落ちましておめでとうございます』という落とし穴だけの2時間番組を放送したこともありました。現在は『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS)や『水曜日のダウンタウン』(同)、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジ)などで、落とす企画を放送しています」

 日本人は落とし穴が好きなのだろうか。

落とし穴を支えるプロ集団

「ドッキリの落とし穴は、落とされるまでのドキドキ感と、落ち方や落とされ方のリアクションなど、バラエティとして面白い要素が多々あります。本来の落とし穴企画は、ドッキリだからこそ面白いと言っていいでしょう。オチにはもってこいの仕掛けですからね。そして落とし穴企画がなくならないのは、これまでケガ人が出てこなかったからでしょう」

 ケガ人が出なかったのは、プロ集団がいるからだという。

「業界には落とし穴のプロ集団がいるんです。例えばテルミックは、テレビやコンサートの美術制作を請け負う業界御用達の会社ですが、バラエティ番組で見る大掛かりな落とし穴の多くはここが手がけています。古くはドリフターズの『8時だョ!全員集合』(TBS)で階段が一瞬で坂道に変わるセットなども、ここが手がけました。歴史のある会社です」

 同社のホームページには、《ドッキリでおなじみ落とし穴マシン“落とし穴ユニット”》も紹介されている。

「番組側のオーダーにも対応してくれて、大きさ、耐久性、機能など、本格的な落とし穴を作ってくれる会社です」

「オオカミ少年」の落とし穴も、ここが手がけたものだろうか。

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