ネット上にアップされたポルノ動画を警察が大捜査…イスラム大国「インドネシア」の性事情“表と裏”

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 インドネシアは人口約2億7000万人で世界第4位、かつ国民の約88%がイスラム教徒という世界最多のイスラム教徒を擁する国でもある。それでいて「イスラム国家」ではなく、キリスト教、ヒンズー教、仏教、儒教の信仰も認められている。

 多様性に富んではいるが、圧倒的多数を占めるイスラム教の存在は大きい。規範や倫理観といった面で、たとえ他宗教の国民であっても影響されているのが事実である。イスラム教といえば「性」に厳格なことで知られるが、いまインドネシアで、1本のポルノ動画が国民の関心事になっている。【大塚智彦/在インドネシアライター】

民族衣装の女性が登場

 約16分間のその動画「クバヤ・メラ」は、今年3月に撮影され、ネットにアップされたのは7月のことだった。コロナ禍でオンライン滞在時間が増えた最中ということもあり、このポルノ動画は国民の間で瞬く間に“大人気”となった。出演女性が美人であった点に加え、その「衣装」がポイントだったとされる。

 タイトルにある「クバヤ」とは、インドネシアで主流を占めるジャワ人の女性の民族衣装で、レース状の布地を上半身に体の線がはっきりわかるほど密着させて着用する。下半身には「サロン」と呼ばれる一枚布を腰巻のように付け、こちらも歩き方によってはふくらはぎがチラチラと見えるセクシーなものである。

 そして「メラ」は「赤色」を指す。「クバヤ・メラ」を直訳すれば「赤い民族衣装クバヤ」となる。

 すでにネット上からは削除され、全編を視聴することはできなくなっているが、いくつかの写真と記事から「クバヤ・メラ」のストーリーを追うと、次のようなものになる。

 ホテルに宿泊中の男性の部屋に入るため、女性従業員が「灰皿を持ってきました」と言って客室を訪れる。真っ赤なクバヤを着込んだ彼女は部屋に入るものの、男性はシャワーを浴びており、彼女はバスルームの扉をノックする。

 すると腰にバスタオルを巻いた男性はクバヤ姿の女性と話し込み、現金を彼女に手渡す。そしてその見返りとして部屋で事に及ぶ――という展開である。

インドネシアのポルノ事情

 イスラム教では「婚前交渉」が禁忌とされており、ポルノも固く禁じられている。そのためインドネシアには正式に流通するいわゆる「アダルトビデオ」は存在せず、ポルノは全てが「裏ビデオ」、モザイクはない。全て「本番行為」が行われているというのが定番だ。おそらくインドネシア以上に厳格なイスラム教国や仏教国、社会主義国でも、大なり小なり似たようなものなのではないか。

 かつてインドネシアでは、街中にあるビデオやCDを販売する屋台などで「裏ビデオ」とささやくと、店主が商品棚の下やカバンに隠していたビデオやDVD(大半が海賊版)をおもむろに出してくるという光景が一般的だった。しかし、警察当局のおとり捜査などで摘発が進んだ結果、舞台はインターネットに移行していった。

 いま海外のポルノ動画サイトにアクセスすると国別のカテゴリーがあり、「インドネシア」のカテゴリーには商業ベースで撮影された動画が並んでいる。「クバヤ・メラ」がアップされたのもそうしたサイトのひとつで、再生回数に応じた収入が目当てだったようだ。こうしたポルノ動画サイトには、一般人の女子学生や主婦が登場するアマチュア作品もアップされている。

 敬虔なイスラム教徒の女性がかぶる「ヒジャブ」を着用した映像、タブー中のタブーである「処女喪失」を扱った映像がよく見られているという点が、お国柄といえばお国柄だろうか。

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