羽生善治、52歳での快進撃の理由は? AIの“実験”が功を奏し「何かをつかみかけている」

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 まさに中年の星である。昨季の勝率は3割台に落ち込み、限界がささやかれた将棋の羽生善治九段。しかし今季は一転、快進撃でタイトル挑戦も射程内。獲得100期も見えてきた。52歳のレジェンドに何が起きたのか。

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「本当に調子が良いですよね。対局以外でも表情が柔らかく、笑い方が以前より明るいですよ」

 とは羽生と同学年の先崎学九段である。

 羽生は史上初の7冠制覇を遂げ、通算獲得タイトル数も歴代1位の99期と、史上最強との声も上がる大棋士だ。

 生涯勝率も7割超と驚異的な数字を維持していたが、2016年度以降は年度勝率が5割台に落ち、昨季は3割6分8厘と初の負け越しを喫した。名人戦挑戦者決定リーグでも最上位のA級から陥落し、「もう終わった」と痛烈な批判をされることもあった。

好調の理由は?

 先崎氏は言う。

「年齢による衰えは当然あったでしょう。根気や集中力は加齢に伴って落ち、40歳を過ぎると、将棋の中身がどうしても淡泊になっていくものです」

 ところが、だ。

 今季の羽生はここまで勝率7割4厘と復調。何より、王将戦挑戦者決定リーグでは5連勝とトップを走り、100期目を懸けたタイトル挑戦が現実味を帯びている。

「研究時間がこれまでに比べて十分に取れていることが大きいのでは」

 と、さる将棋連盟関係者。

「4年前、羽生先生は東西の新将棋会館建設にかかわる委員会のトップになり、以後はさまざまな打ち合わせやイベントに忙殺されていました。それが昨年末にめどが付いた。また、踵を痛め、長時間の正座にストレスを抱えていましたが、それも治ったとか」

 先崎氏も、

「A級から落ちて逆に肩の力が抜け、のびのび指せているような気がします」

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