北朝鮮ミサイル 日本にとって最大の脅威はダム湖の水中発射場から打ち上げられたKN-23

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

Advertisement

「北朝鮮はアジアでトップクラスのミサイル保有国になりました。これは日本にとって、かなりの脅威です」──軍事ジャーナリストは警鐘を鳴らす。北朝鮮が異常なハイペースで弾道ミサイルを発射しているのはご承知の通りだ。まずは今年に入って何発のミサイルが発射されたか見てみよう。

 ***

 防衛省・自衛隊の公式サイトでは「北朝鮮のミサイル等関連情報」を公開。2019年からの「発射事案」を時系列でまとめており、11月4日現在、今年は1月5日から11月3日までの広報資料や防衛相の会見の様子などがアーカイブされている。担当記者が言う。

「防衛省といえども全てを把握しているわけではありません。4月17日に発表された広報資料は《昨日(4月16日)、北朝鮮は、何らかのミサイルを発射したと考えられます》と、詳細不明でした。北朝鮮が今年に入って何発の弾道ミサイルを発射したのか正確には分からないということになりますが、防衛省の広報資料を基に数えると43発という数字が導き出されます」

 YAHOO!ニュースは同じく防衛省の発表資料を元に「北朝鮮の弾道ミサイルと発射数」という図表を作成している(註1)。

「この図表を見ると、金正恩(キム・ジョンウン)総書記(38)が政治の実権を握るようになってから最も弾道ミサイルを発射したのは、2019年の25発だったことが分かります。ちなみにこの年は、当時のドナルド・トランプ米大統領(76)と2月にベトナムで、6月に板門店で首脳会談を行っています。いずれにしても43発という数字は尋常なものではないことがよく分かります」(同・記者)

自信と余裕

 軍事ジャーナリストは、「今年の発射は以前のものとは異なり、北朝鮮の国営メディアが金正恩の反応やメッセージを報道しないことが最大の特徴でしょう」と指摘する。

「北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのは、アメリカと首脳会談を行いたいから――このような分析は、少なくとも昨年までなら妥当な推測でした。しかし、今年の発射数は類例のない多さであるにもかかわらず、政治的なメッセージが伝えられることは滅多にありません。コメントを出すのは、主に軍や外務省です」

 こうした状況から、今年の発射は「純粋な軍事作戦」という可能性があるという。

「北朝鮮がミサイルを発射する理由の一つに、米韓軍事演習に対する抗議が挙げられます。軍事作戦に軍事作戦で対抗しているわけですから、確かに政治リーダーの声明は必要ありません。更に、自分たちの軍事能力を誇示する狙いもあると考えられます。『我々のミサイル発射により、韓国、日本、そしてアメリカは慌てるはずだ』という自信や余裕が感じられると言っても過言ではありません」(同・軍事ジャーナリスト)

次ページ:無言の圧力

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[1/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。