女性バーテンダーとの不倫に溺れる50歳男性 全てを知っていた息子が放った一言が分岐点

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 文春オンラインが先ごろ報じた、NHK阿部渉アナウンサー(55)の不倫スキャンダル。“社内ダブル不倫”という点や“勤務時間内での密会疑惑”などに注目は集まっているが、男女問題を30年近く取材し『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏は、阿部アナの心移りに着目する。

 記事では〈最近は2人のあいだに温度差が生じ始めているという〉として、関係者の次の証言が掲載された。

〈阿部さんはA子さんに、口では『好き』『一番大事だ』と言っているそうですが、家庭を捨てるなんてまったく考えていない。一方、A子さんは阿部さんと一緒になりたいと望んでいるようです〉

 阿部アナの不倫は約2年におよぶという。「1~3年」で終わる不倫関係が最も多いという調査(株式会社カケコムの2020年調査)があるから、「2年」はひとつのターニングポイントなのかもしれない。

 今回、亀山氏が取材した男性も不倫歴は2年だが、目下、彼女への想いは冷めないようだ。この違いはどこにあるのか。

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 NHK男性アナウンサーの局内不倫が話題になっている。およそ2年のつきあいで、最近は男性側が少し冷めつつあったという報道も流れた。情熱的な恋愛にもいつか終わりは来るものだ。だが、「それはない。僕は妻が離婚してくれなければ、この道を突っ走るしかないと覚悟しています」と話す男性がいる。

 武永誠さん(50歳・仮名=以下同)は、半年ほど前、妻子を置いて家を出た。愛する人とともに暮らしてはいないが、彼女への心中立てのようなものだ。いずれ会社をクビになるかもしれない。妻は離婚には応じないと言っている。

「自分でも愚かだと思っています。いずれは、愛する友美佳にも愛想を尽かされるかもしれない。それでも、今、僕ができるのは彼女の近くにいることだけなんです」

 誠さんが尚子さんと結婚したのは30歳のときだ。尚子さんは、彼が勤めていた会社の役員の娘だった。最初はそのことを知らず、2年後輩の彼女をいいなと思っていた。あるとき、帰り道が一緒になったのでお茶でもと誘った。それが食事に変わったころ、先輩から彼女の素性を聞かされた。

「驚きましたが、そのときはすでに彼女に惹かれていました。でも彼女が本気かどうかはわからなかった。次に会ったとき、つきあってほしいと言ったら、彼女が『親のことは気にしないでほしいの』と。まあ、本当に自立心があるなら、他の会社に勤めるんでしょうけどね。僕は当時、そこまで気づかず、親の七光りを気にしない立派な女性だと思っていた」

 1年ほどつきあって結婚という流れになった。素直な女性ではあったが、彼の本音としては「物足りなかった」という。もっと丁々発止とやりとりできる女性、自分で道を切り開いていくようなタイプが好きだったのだ。ところがもう、後戻りはできなかった。

妻がつぶやいた「人生なんて思い通りにはならない」

 それでも結婚生活はつつがなく進んでいった。31歳で息子を、2年後には娘を授かった。妻は滞りなく家事育児をこなしていた。親が通いのお手伝いさんをつけてくれたから、彼女は特に不安も不満もなかったようだ。

「子どもの教育に関しては、尚子が父親に相談して決めていましたね。地方企業の中堅サラリーマンの息子である僕の意見はほとんど通らなかった。義父は小学校から私立を主張していました。子どもたちが小さい頃、夏休みに近場の海に旅行しようと言ったら、妻が提案してきたのはグアム旅行。いや、幼子に飛行機はむしろかわいそうでしょ、車で行こうと言ったら、『私は0歳で飛行機に乗っていたらしいけどね』って。そんなすれ違いは多々ありましたが、僕は気にしないようにしていました」

 役員だからといってそれほど高給がとれる会社でもないはずだと彼が調べてみたら、妻の母親は自力で美容院を立ち上げ、手広く美容関係の商売もしていた。尚子さんは、結婚前にそのことを話さなかったのだ。どうやら母娘関係はあまりいいとは言えない状態だったらしい。

 義父母の夫婦関係も決していいとは言えないようだったが、仮面夫婦としては完璧だった。義父は妻の社交的な面を利用していたし、義母は夫の社会的立場を享受していた。これも夫婦のありようなのだろうと誠さんは感じた。

「じゃあ、僕らの夫婦関係はと考えると、心もとなかったですね。妻は親に毒を抜かれたように素直で純粋な人ですが、すべてに浅い。苦労していないからというわけではなくて、考えるのを辞めているような気がしました」

 何かのおりに、尚子さんが「どうせ人生なんて思い通りにはならないでしょ」と投げるようにつぶやいたことがある。誠さんは、あれ、と思った。丁寧な物言いをする彼女に似合わない、やさぐれ感があったからだ。

「彼女は自分の人生に失望、絶望していたのかもしれない。その分、子どもに夢を託そうとしたんでしょうか。金に糸目をつけずに子どもの教育に一心不乱になった。義母との関係はよくなかったみたいだけど、義母も孫のためにはお金だけは出し渋らなかった。息子が2歳になるころから英才教育の教室に通わせていました」

 一方で、彼自身は役員の娘と結婚したからといって特別待遇になるわけでもなく、淡々と仕事をこなしていた。特に出世欲があるわけでもなかったが、自分がするべき仕事に関しては全力で取り組んだ。

 結果、同期と同じように40代後半で部長職についた。たまたま空きがあったため、ラッキーだったと彼は言う。

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